WebKit2開発途上版を試す
WebKit2のソースコードは、開発がアナウンスされた4月時点からWebKitプロジェクトのTrac/SVNサーバーで公開されている(こちら)。開発タイムラインを眺めてみると、各種の機能が実装されている段階で、ウェブブラウザーとして完成した形での検証が可能になるまでにはしばらくかかりそうだ。
とはいえ、4月時点と比べれば開発も進行しており、ウェブブラウザーとしての動作はかなわないものの、いくつかの動作テストが可能な段階までは到達している。まずは以下のコマンドラインをTerminalで実行し、WebKit2のダウンロードとコンパイルを実行してほしい。なお、MacBook Pro 2.4GHzでも1時間以上を要したため、時間に余裕があるときのトライをお勧めする。
$ svn checkout http://svn.webkit.org/repository/webkit/trunk WebKit2
$ cd WebKit2
$ ./WebKitTools/Scripts/build-webkit
これで、WebKit2のコンパイルは完了。次に同じディレクトリーで以下のコマンドラインを実行すれば、Perlで記述されたテストスイートが起動する。12月13日時点では、テスト結果に「failed」の文字が散見されたものの、最後に表示される成功率は99%だった。
$ ./WebKitTools/Scripts/run-webkit-tests ─webkit-test-runner
スクリプト「run-safari」を実行すれば、ウェブブラウザーとしての動作を試すこともできる。ユーザーエージェントを確認したところ、WebKitのバージョンは「534.15+」(Safari 5.0.3は533.19.4)と表示されたため、基本的なブラウジングが可能な段階まで到達していると考えられる。しかし、WebKit2はWebKitとの互換性を失っているため、Flashを利用したサイトにアクセスするとほぼ確実にフリーズするなど、おせじにも実用性が高いとはいえない。プロセスが分離されていることの検証については、また日を改めてお届けする予定だ。
$ ./WebKitTools/Scripts/run-safari
筆者紹介──海上忍
ITジャーナリスト・コラムニスト。アップル製品のほか、UNIX系OSやオープンソースソフトウェアを得意分野とする。現役のNEXTSTEP 3.3Jユーザーにして大のデジタルガジェット好き。近著には「改訂版 Mac OS X ターミナルコマンド ポケットリファレンス」(技術評論社刊、Amazon.co.jpで見る)など。
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