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Andorid端末「Cisco Cius」も登場!VDIを越えるVXIも披露

自社でも実践!シスコ流コラボレーションの神髄とは?

2010年11月25日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 
写真●曽根田 元

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11月24日、シスコシステムズは都内で「Cisco Collaboration Summit Japan」を開催した。同社が標榜する「ダイナミックネットワーク組織」の姿と共に、ビデオ会議システムを中心とする新製品やデスクトップ仮想化戦略なども披露された。

ダイナミックネットワーク組織はなぜ必要

基調講演を行なったシスコシステムズ 代表執行役員 社長の平井康文氏

 基調講演のおいて、シスコシステムズ 代表執行役員 社長の平井康文氏は「新時代の組織イノベーション」と題し、コラボレーションの重要性やシスコ自身の組織変革の取り組みについて説明を行なった。平井氏はアル・ゴア氏のスピーチライターであるダニエル・ピンク著の「モチベーション 3.0」(大前研一氏・訳)を引き合いに出し、あめとむちや賞罰を軸にした「モチベーション2.0」から自立性・学習・想像を重要視するモチベーション3.0にまで今こそ従業員のマインドをステップアップする必要があると述べた。また、「業務は必ずしもオフィスでやる必要はない」「金銭よりもワーク環境を重視する従業員も増えている」といった同社の調査も披露した。

 しかし、日本ではOECD調査のとおり、従業員当たりの生産性も低く、モチベーション3.0を実現するための敷居は高い。そのため、平井氏は今までの日本組織に多かった上意下達の「コマンド&コントロール型の組織」やアウトソーシングを重視した「コア/コンテキスト型の組織」に代わり、個別のエキスパートを連携させる「ダイナミックネットワーク組織」が今後必要になると述べた。ダイナミックネットワーク組織により、モチベーション3.0で重要視されている自立性や学習性をチームに与えることができ、生産性の向上やビジネスのイノベーションを実現できるというわけだ。

ダイナミックネットワーク組織の形成

 だが、ダイナミックネットワーク組織への移行に際しては「一定の条件を満たさなければ統制がなくなり、組織としての形態を維持できなくなる」(平井氏)という。その条件として平井氏は、ユビキタスな接続環境、情報へのアクセス、人事評価システム、ガバナンス、学習する仕組みなどを挙げた。シスコでもダイナミックネットワーク組織を実践すべく、ユビキタスな環境や情報共有の体制を構築するだけにとどまらず、新しい人事評価制度の導入や社内セミナーなどの実施を全社的に進めているという。

 さらに平井氏は具体的なコラボレーションのツールを紹介した。まず平井氏は「ツールは持っているという企業は多いが、適材適所で使っていないところも多い。たとえばメールは非同期通信であり、コラボレーションのツールではない」という企業の現状を説明。確かに一口にコラボレーションとしていっても多対多、一対一などの参加者の違いがあるほか、メディアに関してもテキスト、音声・ビデオなど多様化している。この結果としてメールやTV会議、Web会議、IM(Instant Messenger)、SNS、ボイスメール、電話、ストリーミング、テレプレゼンスなど実に数多くのツールが存在することになる。平井氏はこうしたツールは用途による適材適所があり、複数のフェーズがあると説明した。

さまざまなコミュニケーション&コラボレーション環境

新ツール「Cisco Quad」、新端末「Cisco Cius」など

 イベントの後半では、SaaS型Web会議システム「WebEX」の最新版やテレプレゼンスなど新しいコラボレーション製品のデモも行なわれた。以下、写真で見ていこう。

自宅でWeb会議を用いてミーティングを行なうという設定

平井氏の「Galaxy-S」でWebEXを利用するデモ

平井氏に商材を見せるため、iPadで高解像度のWebEXを使うことに

ストラップの柄や素材感まで表現できる

 次にデモが行なわれたCisco Ciusは、8月にお披露目されたAndroid搭載のビジネスタブレット。VDI環境とコラボレーションツールのほか、「Cisco Quad」と呼ばれる新しいコラボレーションツールが組み込まれている。会場ではCiusで手書きのメモを撮影し、WebEXでファイルとして共有するというデモが行われた。

Android搭載のビジネスタブレット「Cisco Cius」の概要

統合コラボレーションツールCisco Quad

 そして、このCisco Ciusのベースとなるのが、「VXI(Virtual eXperience Infrastructure)」という同社独自のVDIソリューション。これは既存のデスクトップ仮想化(VDI)にビデオを中心にしたリッチコラボレーションの機能を埋め込んだ技術で、端末としてCisco Ciusのようなタブレットの他、専用のVXI端末が用意される(後述)。平井氏は「既存のVDIはあくまでPCが主体。しかし、モチベーション3.0やダイナミックネットワーク組織で中心となるのはあくまで人であり、VXIではあくまで人を中心にしたソリューション」と説明する。

(次ページ、パーベイシブビデオとVXIの新製品群)


 

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