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自社事例から得た「トップから社員を導く5つの手法」を披露

導入すればOK?コラボレーションの前にシスコがやったこと

2013年02月14日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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2月13日、シスコシステムズはプライベートイベント「Cisco Connect」の開催にあわせ、コラボレーション分野に関する記者説明会を開催した。数多くのコラボレーション製品を提供する同社だが、真に重要なのは意思決定のスピードを上げ、市場や業界トレンドにいち早く適応できる組織作りだという。

人と人はつないだ後が大事

 記者発表会に登壇したシスコのカール・ウィージ氏、ロン・リッチ氏は、同日開催されたプライベートイベント「Cisco Connect」で「コラボレーション革命」と題した基調講演を行なっている。記者発表会では、企業にとってのコラボレーション、シスコ社内でのコラボレーションの実践について説明した。

 冒頭の挨拶でシスコシステムズ エンタープライズ事業 専務執行役員の鈴木和洋氏は、過去ルーターやスイッチのベンダーとして、コンピューター同士をつないできたが、コラボレーションは人と人をつなぐ領域と定義付けた。そして、「コンピューター同士はつないでしまえば、あとはコンピューター同士が勝手にやりとりをしてくれる。一方、人と人はつないだ後が重要。つないだ後が、これがコラボレーション。私たち自身が試行錯誤をしてきた」と述べ、コラボレーション分野に注力してきたという。

シスコシステムズ エンタープライズ事業 専務執行役員 鈴木和洋氏

 続いて登壇したカール・ウィージ氏は、モバイル、ソーシャル、ビデオ、クラウドの4つの技術が業界を牽引していると説明。また、インターネット対応デバイスの主流が、PCからスマートフォン・タブレットに代わってきている点、ビデオ会議製品が「イマーシブ」から「パーベイシブ」に移っている点、そして他のアプリケーションと比較し、Webビデオ会議やWebサイトの構築、UC(Unified Communication)などがクラウド化の意向が強いといった最近の動向を説明した。

米シスコシステムズ グローバルコラボレーション シニアバイスプレジデント カール・ウィージ氏

 こうしたメガトレンドの中、シスコではテレプレゼンスやUC、Web会議、コンタクトセンターなど、幅広いコラボレーションポートフォリオを提供しているとアピールした。特に強調されたのは、さまざまなトレンドが変化しても、アーキテクチャが代わらないで済むという点だ。「次にはどのようなことが起こるか、顧客に聞かれるが、その際は“分からない”と答えている。シスコのアーキテクチャであれば、ツールが変わっても問題ないからだ」(ウェージ氏)。

あいまいさはコラボレーションの敵

 では、企業はコラボレーションをどのように実現すればよいか? シスコ社内で組織や役員間のコミュニケーション推進を図ってきたロン・リッチ氏は、円滑なコラボレーションを実現するためには、カルチャー(企業文化)、プロセス(人と人のやりとり)、テクノロジーの3つを変革することが重要だと説く。

シスコシステムズ エグゼクティブ&カスタマー エンゲージメント ロン・リッチ氏

 このうち、同氏が言及したのが「トップから社員を導く5つの手法」と題したプロセスの実践だ。「あいまいさはコラボレーションの敵だ。組織をクリアにしていくことが重要」(リッチ氏)とのことで、意思決定の透明性を担保し、戦略や目標を社員に共有させていくプロセスが必要になるという。

トップから社員を導く5つの手法

 ここで紹介された手法とは、「誰が意思決定をするのか部下に伝える」「意思決定の方法を部下に伝える」「分類することであいまいさをなくす」「共通言語を決め、決定を広く行き渡らせる」「多数のチームに瞬時に同じ考えを持たせる」の5つだ。もともとシスコ自体は適応力の高さが強みの1つとなっており、会長兼最高経営責任者のジョン・チェンバーズ氏も「経営陣が右へ行くと言えば、6万5000人の従業員は全員右を向きます」と語っている。こうした環境の中、同社は事業部とリージョン、機能リーダーのうち、意思決定を誰が行なうのかを明確にしつつ、意思決定の方法自体も部下に伝えるようにした。

 また、成長や収益性/効率、製品化までの時間、顧客、パートナー、従業員のエクスペリエンスなど全部で25の指標を設け、戦略や施策を分類した。さらにVision(ビジョン)、Strategy(戦略)、Execution(実行)、Metrics(測定基準)を表わす「VSEM」という意思決定の共通言語を設け、社員全員を巻き込めるようにした。「社内の調査で戦略を理解していない人が多く、一人一人異なる戦略定義を持っていた」(リッチ氏)とのことで、会社としての共通言語を確立し、優先事項を明確にした。

 この段階で、初めてコラボレーションのツールが役立つ。「かつては場所や時間、コストなどの制約があったため、チームが連携するのは困難だった」(リッチ氏)が、コラボレーションツールを用いることで、容易に、安価にコラボレーションが実現できる。これにより、多数のチームの方向性を一致させ、ビジョンに邁進させることが可能になるとというわけだ。

場所や時間などの制約を取り払う

 リッチ氏の現在の肩書きは顧客とのコミュニケーション戦略を担当する「エグゼクティブ&カスタマー エンゲージメント」。2012年以前は、10年以上に渡ってジョン・チェンバース氏直属のコーポレート・ポジショニング担当バイスプレジデントとして、最優先事業に関する役員の調整と連携を担当してきたという。まさに人と人をつなげるプロがコラボレーションの神髄として語ったのは、コラボレーション以前の組織論であった。両氏は、こうした組織論に関しての著書も上梓しており、「コラボレーション革命」(日経BP刊)として日本でも発売された。

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