ただし、すべての検出をクラウド側で行なうわけではない。過去に大流行したようなウイルスや、国内で多く流通している不正プログラムなどは、クラウドに頼ることなく、従来と同じようにクライアント側のシグネチャで検出できるようにしている。クライアント側で判定できなかったものだけを、「スマートプロテクションネットワーク」を介してクラウド側のデータベースで検索する。
実行できないように無力化した、テスト用のウイルス感染ファイル数本をチェックしてみたところ、ネットワーク送受信状況を見ていても大きなトラフィックは生じなかった。ネット接続状態とLANケーブルを抜いた状態での振る舞いも、特に違いはなかった。どちらも検出および削除処理が正常に行なわれていることからして、クライアント側の20%に縮小化されたシグネチャでも検出可能だったのだろう。
なお、ファイルやフォルダー、ドライブを指定してスキャンするときに、2010年版にあった「バックグラウンドで処理をする」という項目が廃されている。フォアグラウンドで処理しても大きな負荷にならない、との自信の表われだろうか。検索中はディスクアクセスが頻繁に起こるものの、CPU負荷は低く、ほかのアプリケーション操作に影響するようなことはなかった。
さらに簡略化されたユーザーインターフェース
ウイルスバスター2011 クラウドの第2の特徴は「革命的な使いやすさ」だという。製品版のCD-ROMからインストールしてみたところ、組み入れるコンポーネントが多いためか、終了まで10分ほどの時間を要した。インストールの次には、登録情報の入力画面が表示される。ここでは、氏名や生年月日/住所/電話番号/メールアドレス、さらにクラウド接続時のニックネームやパスワードを入力する。
気になるのは、この入力タイミングだ。プライバシー保護機能などが働いていない状態での個人情報の入力である。ユーザーのパソコンにキーロガーなどが潜んでいないことは、インストール時点で確認されているのだろうか? ここで記入した情報は安全に同社側に送信されるのだろうか? 杞憂だとは思うが、この時点での安全性について保証されないことに、少々不安を覚えた。
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