データの消去や改ざん、システムの破壊や乗っ取り、そして個人情報の漏えいから詐欺など、インターネットにつないだパソコンは日々脅威にさらされている。たとえネットワークにつないでいなくても、USBメモリーからのウイルス感染もありえる時代、私たちが最も気をつけなければならないのがセキュリティーだ。
このような数々の脅威からパソコンを守るのが「セキュリティーソフト」。もはやパソコンに欠かせない存在だ。セキュリティーソフトは年末近くになると、多くの製品が次年度版に刷新される。本特集では各社のセキュリティーソフトを実際に試用しながら、その特徴と使い勝手について検証する。新バージョンはどこが新しくなったのか? 特徴を理解して読者諸氏の目的にあった1本を見つけてほしい。
こんどのウイルスバスターは「クラウド」の名を持つ
ウイルスバスター2011 クラウド (amazonで購入)
発売元:トレンドマイクロ
対応OS:Windows 7/Vista SP1以降/XP SP3以降
価格(直販サイト):パッケージ版1年版 5980円、同3年版 1万2800円
ダウンロード版1年版 4980円、同2年版 8990円、同3年版 9970円
いずれも1登録に付き3台まで導入可能(仮想マシンを含む)
特集第1回は、トレンドマイクロの「ウイルスバスター2011 クラウド」を紹介する。セキュリティーソフトではおなじみのウイルスバスターだが、2010年度版とは2011年度版では、まったく別物といえるほど変化している。同社では、その変化を「革命的なもの」として、処理負荷の軽さや使いやすさ、満足度の劇的な向上をアピールしている。
大抵のセキュリティーソフトはそうだが、従来までのウイルスバスターでは、「ウイルス定義ファイル」(シグネチャ)を頻繁に更新して、それをユーザーのパソコン(クライアント)にダウンロードすることで、新種の攻撃やウイルスに対応している。しかし、時々刻々と新種ウイルスが登場するような現在では、シグネチャの頻繁な追加更新はネットワークやサーバーの負荷をまねき、大容量化してクライアント資源(HDD容量やCPUパワー)を食いつぶす。
また、多様化するクライアント環境に対して、十分な動作検証時間を取れない事態も引き起こしている。トレンドマイクロのウェブサイトで公開されている本製品の「開発ストーリー」にも、「トラブル原因のトップはセキュリティー対策ソフト」と記されるほどである。
そこで「クラウド」の出番である。ほとんどのシグネチャを同社サーバー側(クラウド)に置き、そこでユーザーから収集した情報を分析する。クライアント側でスキャンを実行すると、「対象のファイルから解析に必要な部分だけを抽出」して、ネットワーク越しにクラウドに送信。クラウド側で脅威情報を参照して、結果をクライアントに返送。その後、削除などの処理を実施するというものだ。
先ほどの開発ストーリーの中では、「病院で採血したわずか数ccの血液を検査機関に送って、検査結果を受けとる」という、現実のウイルス感染検査と同じようなものだとしている。
これにより、ウイルスバスター2010と比較してシグネチャ容量の80%、メモリー使用量は60%、クイック検索時間の63%を削減したという。実際にウイルスバスター2011 クラウドを動かす前と後で比較してみたところ、CPUの負荷率は1%前後、メモリー利用率は6%前後の増加(19%→25%)に収まっていた。
特集テストマシンの主な仕様
CPU:Core i5-750(2.66GHz)|メモリー:DDR3-1333 4GB
GPU:Radeon HD 4770|HDD:1TB|OS:Windows 7 Ultimate 32bit
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