ここ1年、IT系で盛り上がっているデバイスのひとつにタブレット型端末が挙げられる。5月末に登場したアップルの「iPad」はその代表格だが、秋葉原の店頭では、Android搭載の格安タブレット端末であふれており、これから本格的に日本の市場に登場することが予想できる。
また電子書籍端末としても、アマゾンの「Kindle 3G」やソニーの電子書籍リーダー、シャープのiPad対抗の電子書籍端末などが話題にあがっている。とにかく「カンブリア大爆発」のようにタブレット端末がわらわら出てきたのが2010年なのだ。
それではこのタブレット端末は、今後我々の生活をどう浸透していくのだろうか?
9月10日、そんな問いに答えてくれそうな書籍「タブレット革命 ~iPad登場でわかった“板型PC”の破壊力」が発売された(Amazon.co.jpで見る)。著者は日本において最も早いタイミングでiPadを入手し、ASCII.jpでもその魅力を伝えてもらったITジャーナリスト、松村太郎さんだ。
今回、松村さんをお招きして、アスキー総合研究所の遠藤諭所長と一緒にタブレット端末の来し方行く末を語り合ってもらったところ……「iPadでビジネスがうまく行った」や「スマートフォン持ちはリア充」といった謎の発言が飛び出した! 一体、何が語られたのか、早速お届けしよう。
「180度のコミュニケーション」で成約率アップ!
── タブレット型端末といえば、やっぱりiPadが一番目立ちます。日本での発売後、どういった影響をもたらしていますか?
遠藤:アスキー総研でiPadの発売後に購入実態調査を実施したんですが、「購入に前向き」「購入するかもしれない」という選択肢を含めると、何と日本のネット人口の4人に1人がiPadに興味を持っていたんです。それも50代が多い。
実際に買った人は20代と50代。便利だと思った場所は「自宅のソファー」がトップで、その次が「ふとん・ベッド」。僕と一緒だね(笑)。ジョブズが見せた1月のプレゼン通り、みんなソファーで使っているという。
── ビジネスでの利用が進むという話も出ていました。
遠藤:そういえば最近、不動産屋さんからiPadで15%くらい成約率がアップしたという話を聞いたばかりなんですよ。
── ええ!?
遠藤:いや、これが決して大げさな話でもないらしい。iPadは扱いが簡単だし、何かをお客さんに見せるのにも便利でしょ。
松村:特に情報を見せるときに役立ちますよね。
遠藤:そう。物件の中身だって、写真をCamera Connection Kitで取り込んでおけばすぐに見せられるし、「駅から徒歩○分」って漠然とした話もGoogle マップを使えば具体的に地図で見せられる。パソコンでも同じことができるはずなんだけど、キーボードが付いた端末をお客さんに見せるのはちょっとスマートじゃない。
松村:僕もiPadならコンテンツの一部を拡大/縮小できるので、視力が弱い方でも虫眼鏡なしで読んでもらえるという話を聞いたことがあります。
それにiPadは、この本のキーワードでもある「180度のコミュニケーション」ができるというのが大きいんです。パソコンでは、相手との間にディスプレーを置いて90度の角度で話すことが多かった。でもiPadなら、テーブルに寝かせた状態でお互いの顔を見ながら話せる。ものを教えたり、コンテンツを共有するときは、この180度のコミュニケーションが向いています。
遠藤:アプリケーションやシステムの開発なしで、家電のようにすぐに使い始められるのがいいところだよね。写真を撮ってきてiPadに入れるだけでできちゃうから、さっきの不動産屋さんの話にもリアリティがあった。
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