ソニー、凸版印刷、KDDI、朝日新聞社の4社は都内で記者会見を開き、2010年7月1日を目処に電子書籍配信事業に関する事業企画会社を設立するとともに、年内のサービス開始を目指すことを発表した。また米ソニー・エレクトロニクス シニア・バイス・プレジテントの野口不二夫氏は欧米ではすでにリリースしている電子書籍端末「Sony Reader」の年内国内リリースを考えていると発言している。
4社を代表して登壇した前述の野口氏は「出版、印刷物は歴史の長い文化であり、これを(電子書籍で)伝えていくことは、大げさに言うならば文化の継承と考えている」とし、単なるビジネスとしてだけではなく、文化的な価値を提供していきたいという。
事業会社では具体的には、コンテンツの収集・電子化、管理、販売、配信、プロモーションを手がけ、それに必要なシステムの構築提供を行なうが、同社の目標としてしばしば言及されていたのが「オープンなプラットフォームの整備を図る」という点。
このオープンなプラットフォームについては、KDDI 取締役執行役員常務の高橋 誠氏は「より多くの配信先を確保することが重要。配信先を増やしていくことで、より多くのコンテンツが集まる」といった発言で説明。さらにKDDIは力を入れていくスマートフォンに限らず、専用端末の開発まで示唆した。
同じくソニーの野口氏も「お客さんにとって色々な選択肢があることが重要。出版社とお話ししていてもそれが重要だと言われている」「1業種1社などと言うような形では考えていない。(同業他社などにも)どんどん入っていただきたい」とのことで多様な企業の参加に期待した。なお電子書籍のストアについては、特定の1社に限定されるのではなく、複数存在することを前提の枠組みを考えているとのことだ。
出版社/新聞社といった企業からは、朝日新聞社のみが名前を連ねているが、実際にはすでに話をしている企業は多数あるという。「動き出さないと実体化しない」(野口氏)という考えで、まずは4社が責任を持って企画会社を設立したためで、すでに講談社/小学館/集英社/文藝春秋の各社からも設立主旨について賛同を受けている。
最後にソニーが2004年に電子書籍端末「LIBRIe」をリリースしたときとの違いについて尋ねられた野口氏は、当時は電子書籍ビジネスに関わっていなかったと前置きしつつも、会場一杯に集まった大勢の記者の数について触れ、「電子書籍への注目がまったく違う。機が熟した」と発言。電子書籍がすでに急速に拡大している欧米のみならず、日本においても2010年は完全に電子書籍ビジネススタートの年となりそうだ。