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誰も教えてくれない「コンセプト」の作り方 (2/3)

2010年08月20日 10時00分更新

文●小池 勉/コンテンツブレイン

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コンセプトキーワードは、キーフレーズを集約することから発想する

 では、具体的にコンセプトキーワードをどのようにして考えればいいのでしょうか?

 商品の魅力を凝縮した一言といっても、魅力的な言葉を無理やり作る必要はありません。まずは、商品の魅力を表す言葉(キーフレーズ)をリストアップしていきます。キーフレーズはいくら多くても構いません。些細な項目でもいいので、とにかく挙げていきます。

 次にキーフレーズを厳選していきます。いくつかのキーフレーズは他に統合できるでしょう。まとめられるものや重要度の低いものを削っていきます。

 絶対に外せないキーフレーズばかりが残ったところで、全体を通観するコンセプトキーワードを考えます。ポイントは、聞いた瞬間に「相手の心に浸透すること」「イメージが広がること」の2つです。2つの条件を満たす、分かりやすくて想像力を刺激する言葉を探します。


 コンセプトキーワードは、突拍子もないような斬新な言葉でなくても構いません。普通の言葉でいいのです。ただしっかり耳(目)に残って、相手に伝える力を持つ言葉でなくてはいけません。

 さきほどコンセプトキーワードは「企業とユーザーの間にあるレンズの焦点だ」と説明しました。うまく焦点をとらえたコンセプトキーワードは、サイトからユーザーに、そしてユーザーから別の人へと伝播していきます。人から人に伝播するには難しい言葉や、カタカナ言葉でごまかしてはいけません。誰かが使っている言葉や流行言葉の引用も避けるべきです。

 むしろ「言い得て妙」のように、「自分(聞いた人)も実はそう思っていたんだ」という気づきを与えることが大事です。ただ、決して万人に理解されようとは思ってはいけません。前回の連載で書いたように、魅力を伝えられるのは価値観を共有した人なのですから、同じ価値観を持つ人に伝わる言葉を探せばいいのです。

 次の例は、高級飲食店ガイド機能を持つサイトのコンセプトキーワードの考え方をまとめたものです。


 このサイトからイメージできるキーフレーズをたくさん集めましたが、並べているうちに「大人の時間」が中心になることが見えてきました。訴求したい最大の魅力は「食事」そのものよりも、大人らしい「場」や「時間」を提供することと考えたのです。その次に重要なキーフレーズは「肴」「流儀」となります。これら3つのキーフレーズを眺めながら、どのように伝えるかを考えます。

 そのとき思いついた言葉が「食育」です。食育とは本来、食べることを通して子どもたちの心や体を育てることを意味します。しかし社会人として身につけておきたい食事の流儀もあります。だから「大人」と「食育」という一見矛盾するような組み合わせ(ミスマッチ)がコンセプトキーワードになると思いついたのです。

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