現在までつながるP6コアのPentium Pro登場
インテルはさらに手を緩めることなく、1995年には「Pentium Pro」の投入を開始する。だが、こちらはコストや性能の問題もあり、しばらくはPentiumが主流を占めることになる。この傾向が変わってくるのは、「Deschutes」コアの「Pentium II」が登場する1998年以降のこと。特に「Mendocino」コアの「Celeron」が登場してから、急速にPentium II系への移行が進むようになったが、それまではPentiumの天下と言ってよかった。
そのPentiumも、MMXの実装にあわせてパイプライン段数を増やすことでより高速動作が可能になる。さらに1997年後半には、プロセスを微妙に縮小して高速動作を可能にした「P55C」(B Stepping)がリリースされて、最高233MHzまで動作周波数を上げられるようになる。もっとも、インテルは「Socket 7」系CPUは原則この233MHzを打ち止めにして、早期にPentium II系の「Slot 1」に移行したかったようだ。しかし、なかなかこちらは進まず、むしろこのSocket 7を使ったさまざまな互換CPUや互換チップセットが出てきたことで、ある種インテル単独のときよりも豊かなマーケットが形成されたのは、皮肉としか言いようがない。
ちなみに厳密に言えば、P55Cの次に0.25μmプロセスを使った「Tillamook」と呼ばれる製品も登場しており、こちらは300MHzまで動作周波数が引き上げられた。このTillamookそのものはTCPパッケージ(Tape Carrier Package)で、当初はノート向け専用という扱いであった。これを無理やりSocket 7に変更したものが「黄金戦士」として日本のマーケットを賑わせたりしたが、その後は組み込み向けながら、Socket 7のPGAパッケージの製品も出荷され、ごく少量ながら自作マーケットに流れたりしている。
Pentium Proに話を戻そう。「P6」アーキテクチャーとして、のちにPentium Mにつながる基本となったのが、1995年11月にリリースされたPentium Proである。内部的には、インテルとしては初めて「アウト・オブ・オーダー」と「スーパースカラー」を組み合せたもので、さらに内部でx86命令を、独自のRISC命令に変換して処理する仕組みを持つ。
特に32bitの演算性能の強化に力点を置いたPentium Proだったが、発表当時は「同一周波数のPentiumに性能が劣る」なんて話もあった。当時、コンシューマー向けはWindows 98が主流で、OS内部には16bitコードが大量に残っていた。この16bitコードを高速に扱うことを、Pentium Proではまったく想定していなかったのが敗因である。
さらに、ダイサイズが当初の0.6μmプロセスで306mm2、のちに0.35μmプロセスに移行してもまだ195mm2と、当時の水準としてはかなり大きく、2次キャッシュまでひとつのダイに統合することは不可能だった。これを解決するため、2次キャッシュを別チップの形で製造して、これらをMCMで接続するという複雑な構成を取った。しかし、このMCMで大分苦労したようで、当初は歩留まりが上がらないわ、生産コストは上がるわで、大変だったようだ。
ただこうした問題も、デスクトップ向けCPUには大問題であっても、サーバー向けCPUにはそれほど大きな問題ではなかった。そのため、Pentium Proはワークステーションからサーバー向けの製品と位置づけられた。最大4プロセッサー構成が可能で(サードパーティーのチップセットを使えば、6~8プロセッサーの構成もあった)、さらに2次キャッシュを標準の256KBから512KB~1MBに増量したモデルも用意されたため、サーバー分野では結構長く使われることになり、小規模サーバーにおけるインテルのシェア確立に大きく貢献した。
こうした観点で見れば、Pentium Proはデスクトップ用に向いていなかっただけで、失敗作ではなかったと思う。
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