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池田信夫の「サイバーリバタリアン」 第120回

無線インターネットに「二度目の正直」はあるか

2010年07月07日 12時00分更新

文● 池田信夫/経済学者

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広がる公衆無線インターネット

 6月25日にWire&Wireless(Wi2)という無線通信事業者の事業戦略説明会(関連記事)で、高津智仁社長と公衆無線LANの可能性について話した。公衆無線LANとは、無線LANの基地局を設置して一般向けの通信サービスを行なうものだ。無線LANの電波の届く範囲は狭いが、多くの無線LANをリレーすることによって「面」でサポートするのだ。

Wi2社は月額380円で利用できる公衆無線LANサービス「Wi2 300」を展開している

 こういうビジネスはWi2が初めてではない。1999年ソフトバンクとマイクロソフトと東京電力が「スピードネット」という会社をつくってラストワンマイルに無線を用いるサービスを提供した。しかしこのときは中継系のインフラ(電力線)をもっている東京電力が電柱から電波の飛ぶ範囲でやろうとしたため、面的にカバーすることができなかった。その後もMIS(モバイルインターネットサービス)なども公衆無線LANサービスを行なったが成功しなかった。今でもライブドアなどがサービスを行なっているが限定的なものだ。

 この原因は用いられている無線LANの周波数が2.4GHz帯という不利な帯域だからである。電波は周波数が高くなるほど光の性質に近づいて直線性が強まり、見えないところに届きにくくなる。このためテレビや携帯電話の使っているUHF帯では、中継局や基地局は数キロメートルおきに1局おけばよいが、2.4GHz帯の場合は数百メートルおきに置局しなければ、面でカバーできない。このような「マイクロセル」と呼ばれる小規模な基地局をたくさん建てることはむずかしいので、家庭にある無線LANを利用しようというのが公衆無線LANの発想だ。

 これは世界的にもFONなどが行なっており、無償で無線LANのモデムを配布し、そのユーザーには無料で使用可能にする代わり、他のユーザーがそのモデムを使って通信を行なうことも可能にしている。Wi2のサービスは、ライブドアやバッファローの駅や喫茶店に置かれた無線LAN基地局をつなぐもので、当面は1万3000局、来年は10万局をめざすという。

現在利用できるのはライブドアやソフトバンクによるアクセスポイントが中心だが、今後10万ヵ所の設置を目指している

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