寿司の握り立て感はしつらえとサイドライトで表現する
吉田:寿司をおいしそうに撮りたいんですけど。
三浦:寿司は新鮮さを表現する握り立て感があるとよいんだ。
吉田:握り立て感ですか。さっき撮った写真はこれなんですが。
三浦:これはまた!(絶句)
吉田:ダメですか……。
三浦:パックに入ったままで安っぽいし、光量不足で色あいや立体感がないなあ。ちょっと貸してみて。
吉田:はい。
三浦:こんなこともあろうかと今日はいろいろ持ってきたんだ(笑)
――15分後――
吉田:これがあの寿司ですか!?
三浦:寿司まな板とハランでしつらえたんだ。しつらえで板前が「今握ったばかり」という雰囲気を見せるのもテクニックなんだ。
吉田:寿司もちゃんと立体的に見えますね。
三浦:これはサイドライトで照らしているからなんだ。背の低い被写体を立体的に見せるテクニックとしてサイドライトは有効だよ。
吉田:参考になりました。
噛むと弾けるイクラの新鮮さは透過光とカラーコントロール機能で
吉田:イクラのような生鮮食品を美味しそうに撮るのはなかなか難しいですね。
三浦:いやいやちょっとの工夫でカンタンに美味しそうに撮れるよ。
吉田:本当ですか?
三浦:キミが撮った物を見せてよ。
吉田:これです。
三浦:撮り方がひどい。上から撮っているからイクラのてんこ盛り感が伝わってこないし、粒状感がないからジャムみたいだね。ハイライトが小さいので鮮度いいイクラの張りが伝わってこない。
吉田:ダメなんですね。
三浦:じゃあ、私が撮ってみようか。
吉田:お願いします。
三浦:こういうのはしつらえが重要なんだよ。
吉田:イクラが輝いていますけど、これは?
三浦:具体的な方法を言うと、鬼のような上司に怒られるんだろ?
吉田:はい、そうでした。でも、イクラの粒1つひとつに張りが感じられます。
三浦:ハイライトと光の屈折でイクラの粒に鮮度のバロメーターになる「張り」を作り、新鮮さを感じて貰うテクニックだ。
吉田:緑の葉はなんですか?
三浦:ハランさ。これは補色を使うテクニックで、イクラの赤が緑のおかげで際だっているだろう。
吉田:イクラの色がさきほどと微妙に違うような……。
三浦:カメラのカラーコントロール機能で色をほどよく調整するのも大事なテクニックなんだ。色が濃すぎても薄すぎても美味しそうに見えないのがイクラなんだ。
吉田:なるほど、イクラを美味しく見せるにはこれらのテクニックを組み合わせればいいんですね。