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マイクロソフトのWeb開発ツールで中身も見た目もクールに 第6回

ダメダメWebアプリからの脱却を目指せ

ヤフーが「GyaO!」でSilverlightを採用する理由

2010年06月24日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp イラスト●野崎昌子

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開発とデザインがきちんと分離する点に高い評価

メディア事業統括本部 メディアサービス本部 リーダー/プロデューサー 中村悟氏

 Webアプリケーション開発というとオープンソースというイメージがあるが、実際はユーザーのニーズに合わせてさまざまな技術を導入するケースのほうが多い。ディレクタ、制作、開発、デザイナまで含めて、1500人規模の開発体制を誇るヤフー・ジャパンでも、適材適所で必要な技術を組み合わせているという。

 「シンプルなテキストベースのWebやコストを重視する場合はオープンソース、映像やセキュリティなどの特別な技術に比重をかけるケースではWindows系を用いる場合が多いといった感じです」(中村氏)。こうしたなか、ヤフー・ジャパンでも100本規模の「Visual Studio」、さらに「Expression」を導入しており、さまざまなWebサイトの開発で利用されている。

 マイクロソフトの開発環境に関して聞くと、稲垣氏は「今まで他社の開発環境では実現できなかった、アプリケーション開発とデザインの分離がきちんとできるという点を評価しています。また、スピーディなサイトの立ち上げにも役立っています」と高く評価する。実際、ヤフー・ジャパンでは昨年組織改編があり、個別の事業部ごとに存在していた制作部隊が統合され、統合後の初仕事で前述のGyaO!のサイトを立ち上げた。「2009年5月から8月という実質3カ月で、無料GyaO!、有料GyaO!ストア、Yahoo!映像トピックスという3つのサイトを立ち上げました。今までの映像の事業部単体の開発では絶対に無理でした」ということで、開発体制の整備と分業体制に向いた開発ツールとの組み合わせが成功の鍵のようだ。

マイクロソフトの技術で新しい試みにチャレンジ

 そして、GyaO!ではSilverlightを使って、新しい試みをスタートしている。その一例が映像が視聴中に映像の周りで広告を流すという「インタラクティブビジョン」だ。クリックして内容を理解するバナー広告と異なる、本編の視聴を邪魔しないようにストーリー性を持った広告を流すメニューで、「派手な登場感が出るので、人気の高い商品ですね」(中村氏)という。また、ネットワークやCPU負荷に合わせてビットレートをダイナミックに調整するSmooth Streamingも現在テスト中とのこと。

映像の視聴中に同じ画面で広告を表示できるインタラクティブビジョンのサンプル

 そして、GyaO!の将来構想は、なんとヤフー全体の映像化というビジョンである。「正直いって今のヤフー・ジャパンは「テキストと写真のヤフー」なんです。GyaO!で映像事業を仕切り直すことで、あらゆるところで映像が流れるというサイトにしていきます」とのことで、Silverlightの責任は重い。だが、このビジョンも年内には実現する予定で、日本最大のポータルが大きな変革を遂げることになる。Webに関わるユーザーであれば、リニューアルに注目したいところだ。

エンドトーク

坂本:ヤフーさんのお話し聞いてきました。今回はSilverlightの話がメインでしたが、一般ユーザー向けのサイトはユーザーインターフェイスと使い勝手命ですねえ。

岩崎課長:昔はクリックすると、専用プレイヤーが立ち上がったが、最近は映像がページに埋め込まれているからな。すごく使いやすくなった感じがするぞ。

坂本:開発とデザインが分離できるとか、スピーディなサイト立ち上げに貢献するとか、マイクロソフトの開発環境はずいぶん評価されていました。

岩崎課長:確かにポータルサイトは、スピードや使い勝手が重要だったりするからな。

坂本:はい! アズルトラベルさんのサイトも、Silverlightでガッチリ組みましょう。で、今回は映像配信の話が中心だったのですが、もう1つ事例聞いてきましたよ。PHPとASP.NETが同居したコマースサイトの事例で、昨年ASP.NETに全面移行した話です。

岩崎課長:おお、それは興味深いな!

坂本:ごめんなさい!今日はGyaO!でAKB48の特集なんです!課長、お先に失礼します! 

岩崎課長:お、おーい。話の続きは~!

今回のポイント

  • ・強固なDRMに対応したSilverlightをヤフー・ジャパンが積極採用
  • ・開発とデザインの分離、スピーディな開発の実現などを高く評価
  • ・ヤフー全体の映像化に向け、マイクロソフトの技術を今後も導入

 次回は、コマースサイトでASP.NETを採用したユーザー事例を見ていこう。

すべらないWebアプリ開発はASP.NETから!by 坂本

ということで、ASP.NETやVisual Studio 2010に興味を持ったユーザーは、さっそく以下のドキュメントを一読してみよう。最新のWebアプリケーション開発のノウハウや、マイクロソフトのソフトウェア開発のネタがギッチリ詰まっているぞ。

Microsoft Web 開発 ガイドライン ~ ASP.NET プログラミング エッセンシャル~

http://msdn.microsoft.com/ja-jp/asp.net/ff602016.aspx

ASP.NET 開発者向け技術情報

http://msdn.microsoft.com/ja-jp/asp.net/default.aspx

Microsoft Silverlight

http://www.microsoft.com/japan/silverlight/

IIS TechCenter

http://technet.microsoft.com/ja-jp/iis/default.aspx#tab=1

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