3.賛成派、反対派
今回の都条例改正に賛否を表明している団体・個人をまとめてみた。賛成派は都議会周りが中核、反対派はコンテンツ産業とクリエイターが主体とみてよいだろう。
賛成派
石原慎太郎都知事:3月2日の代表質問において、「児童ポルノや子どもへの強姦などを描いた漫画の蔓延を、見て楽しむだけなら個人の自由である、いかなる内容であっても表現の自由であると許容することは、これらの自由の履き違えでまさにありまして、青少年を守り育てる大人としての責任と自覚を欠いた未成熟な人間の自己保身にほかならない」と答弁。
猪瀬直樹副知事:自身のブログにて、「エロ規制はあったが、ロリ規制がなかった」という題で、「エロ規制はあったが、ロリ規制がなかった。不健全図書(成人向け図書の棚に置く)に指定されてきたのはエロ規制で、ロリ規制ではなない。新たにロリ規制をもうけただけの話。その場合、近親相姦や強姦などを肯定的に繰り返すものに限定して不健全図書に指定され、書店の棚を18歳未満でないところにする。それだけのこと」と記述している。
社団法人東京都小学校PTA協議会:青少年健全育成条例改正案の成立に関する緊急要望書
そのほか、自民党と公明党からは早急に改正案を成立させるべきとの意見が出た一方、民主党と生活者ネットワークが継続審議を求め、共産党は反対の立場を貫いたという。
反対派
日本ペンクラブ:声明「東京都青少年条例改定による表現規制強化に反対する」
京都精華大学マンガ学部・国際マンガ研究センター:東京都青少年健全育成条例改正案に関する意見書について
EMA(一般社団法人モバイルコンテンツ審査・運用監視機構):東京都の青少年健全育成条例改正案に対する意見
MIAU(一般社団法人インターネットユーザー協会):「東京都青少年の健全な育成に関する条例」改正案についての意見書
JAniCA(日本アニメーター演出協会):東京都の青少年健全育成条例改正案に対する意見
社団法人日本図書館協会:「東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例」について(要請)
東京工芸大学マンガ学科教員一同:東京都青少年健全育成条例案に対する東京工芸大学マンガ学科教員一同の意見書
出版労連(日本出版労働組合連合会):青少年健全育成条例の改定案に反対する要請書
流通対策協議会:東京都青少年育成条例の改定に反対する声明
出版倫理協議会(日本雑誌協会、日本書籍出版協会、日本出版取次協会、日本書店商業組合連合会で構成):「東京都青少年条例改正案」に対する緊急反対表明
全国同人誌即売会連絡会:「東京都青少年健全育成条例」の改定案について
ネットビジネスイノベーション研究コンソーシアム(ディー・エヌ・エー、グーグル、マイクロソフト、ヤフー、楽天などが参加):「東京都青少年の健全な育成に関する条例」改正に関する意見
日本新聞協会:「青少年のインターネット利用制限の動き」に関する日本新聞協会メディア開発委員会の意見
東京弁護士会:東京都青少年健全育成条例「改正」案についての意見
そのほか、東京都地域婦人団体連盟、電気通信事業者協会、日本インターネットプロバイダー協会、モバイル・コンテンツ・フォーラム、コミック10社会(秋田書店・角川書店・講談社・集英社・小学館・少年画報社・新潮社・白泉社・双葉社・リイド社の10社によって構成)などの諸団体、そして藤子不二雄A、さいとう・たかを、あだち充、高橋留美子、萩尾望都、本宮ひろ志、ちばてつや、かわぐちかいじ、弘兼憲史などをはじめとする漫画家からも反対の声が挙がった。太田出版が集めたクリエイターの反対署名は920名に上っている。
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