音質──騒がしい場所でもしっかりと音声をキャッチ
音声を録音するとき、まず気になるのは音質だろう。現在市販されているICレコーダーでは、MP3で録音する方式が主流。ハイエンドモデルでは、音声データを非圧縮で記録するリニアPCMにも対応しており、より高品位に録音できる。音声を録音する品質だけなら、MP3でも十分に高音質で、基本的にはエントリーモデルでも利用に問題はない。
とはいえ、ハイエンドモデルはマニア向けかと言うと、そういうわけでもない。録音品質と「聴き取りやすさ」はまったく別モノだからだ。
録音した音声を再生してみると、静かに感じていた場所でも、意外に「ノイズ」が入っている。屋外であれば風切り音があるし、屋内でもエアコンのファンなど、一見、静かに感じる場所でもノイズがあふれている。ハイエンドモデルでは、それらのノイズを低減できるフィルターが充実していることが多い。このノイズカットフィルターの良し悪しで、再生時の音質を大きく左右するのだ。
ただし、ノイズカットフィルターは、製品によって千差万別。ここでは、音声を再生した際のノイズ感も含めて、チェックしてみよう。
録音形式──録音したあとに加工するかどうかが基準に
音質を確認したあと、合わせて確認しておきたいのが「録音形式」だ。
前述したMP3とリニアPCMだが、基本的には録画時間重視の場合はMP3、音声の品質を重視するならリニアPCMといった使い方が一般的。とはいえ、これは記録メディアの容量が512MBや1GB程度と少なかった場合だ。現在では、フラッシュメモリーの価格も安くなり、エントリーモデルでも2GB以上、ハイエンドモデルでは8GBもの容量を確保している。もはや、MP3でもリニアPCMでも、必要に応じて選択すればよいのだ。
そこで注目しておきたいのは、内蔵メモリーの容量とメモリーカードスロットの有無だ。前述したように、現在は内蔵メモリーが2~8GBと大容量のモデルが多い。リニアPCMの最高品質で録音した場合、たった25分間程度で1GB消費するため、内蔵メモリーはなるべく容量が多いモデルを選択したい。
また、内蔵メモリーの容量が少ないモデルでも、メモリーカードスロットを搭載していれば問題ない。大容量なSDメモリーカードやmicroSDカードを利用すれば、存分に録音ができる。頻繁にICレコーダーを利用するユーザーなら、大容量内蔵メモリー+メモリーカードスロット装備のモデルを選ぶとよいだろう。
リニアPCMの録音時間 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
録音品質 | 512MB | 1GB | 2GB | 4GB | 8GB | |
96kHz/24bit | 10分 | 25分 | 55分 | 1時間50分 | 3時間45分 | |
96kHz/16bit | 20分 | 40分 | 1時間20分 | 2時間50分 | 5時間45分 | |
44.1kHz/24bit | 30分 | 1時間 | 2時間 | 4時間10分 | 8時間20分 | |
44.1kHz/16bit | 45分 | 1時間30分 | 3時間5分 | 6時間15分 | 12時間35分 |
MP3の録音時間 | |||||
---|---|---|---|---|---|
録音品質 | 512MB | 1GB | 2GB | 4GB | 8GB |
320kbps | 3時間30分 | 7時間 | 13時間50分 | 28時間 | 55時間40分 |
256kbps | 4時間20分 | 8時間50分 | 17時間20分 | 35時間 | 69時間40分 |
128kbps | 8時間50分 | 17時間40分 | 34時間50分 | 70時間10分 | 139時間 |
リニアPCMの最高音質(96kHz/24bit)で録音する場合、8GBでも3時間45分程度と心許ない。44.1kHz/16bitになると8GBで12時間35分録音でき、余裕がある。一方、MP3の場合は、最高音質の320kbpsでも55時間40分と8GBでも、存分に録音ができる。なお、リニアPCMの44.1kHz/16bitはCDと同じ音質になる。
この連載の記事
-
第4回
ビジネス
いま買っていい、ICレコーダー5機種 -
第2回
ビジネス
いま旬の電子辞書4モデル、購入のポイント -
第1回
ビジネス
電子辞書とICレコーダーでビジネスをスマートに乗り切る! -
ビジネス
仕事を乗り切る、BizTools - この連載の一覧へ