上海万博がいよいよ明日(5月1日)からスタートする。
中国では上海は最先端ではあるが、情報・流行の発信基地は各省の省都クラスの都市である。リアルな世界では省ごとに流行、習慣、TPOが異なるが、ネット上においてはゼロ距離がため、比較的どの都市の人々も似たような価値観を持っている。
そのような状況下、上海に限らず中国全土のネットユーザーが「上海万博などやるべきではなかった」という論調になっている。今、中国人が「上海万博に是が非でも行きたい!」とアピールしようものなら、空気が読めないとしてスルーされるだろう。
岡本真夜の「そのままの君でいて」に始まり、マスコットキャラクターやメインパビリオンの中国館など、様々な目玉コンテンツがパクリ疑惑を受けたことはネットユーザーには衝撃だった。
しかしそれ以上にカオスすぎるリハーサル初日の大混乱がさらなる衝撃を与えたようで、若者ばかりの中国のインターネット利用者は自虐気味に嘲笑した。中国のネット上では「馬鹿だ阿呆だ」といった形容に「SB」というスラングを使うのが一般的だが、上海万博も中国語「世博会(シーボーフイ)」の頭文字の発音をとって「SB会」と揶揄されている。
リハーサル初日のカオスぶりは「入場券を予約したのに無効になった」「セキュリティチェックに時間がかかり長蛇の列となった」「我先に行こうとする客によるトラブル」「イタリア館のガラスが割れた」など、これだけでもネタがてんこもりだが、本国中国では当日参加した人々によるレポートがそれ以上に報道されている。
中国のブロガーらが報道した内容は、前例無き人の多さを第一に紹介してはいるが、それ以外にも「謎の水で浸水するトイレ」「貧相な上に市価の数倍から10倍はする食事」「食事のゴミが貯まった手洗いスペース」「午前中に閉めた外国のパビリオン」など、様々な実態を紹介している。
また香港のテレビ局のニュースでは、西洋人の参加者が「これはまずいと思う」と発言したのを紹介したのに対し、上海のテレビ局のニュースでは、中国人参加者の「よかった。楽しかった」という声を紹介していることも引き合いに出し、中国国内での報道を暗に批判した。
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