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大企業アマゾンに俊敏さで挑む漫画全巻ドットコム (2/2)

2010年04月07日 13時00分更新

文●三浦たまみ

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顧客を惹きつけるユニークなサービスで戦う

 中小ネットショップの販促では、顧客を惹きつける楽しい企画やサービスをどんどん打ち出していく姿勢が問われます。安藤さんは、非常にユニークなアイデアを実行に移しています。

「たとえば出前サービス。注文があった時点から15分~2時間程度で、漫画の全巻セットをお届けしているんです。といっても、現時点では僕らの会社近郊に住むお客様だけに提供している非常に狭いエリアのサービスですが、意外に好評です」

 おもしろいと思うアイデアが湧いたら、まずはやってみる。こんな柔軟な姿勢も中小規模のネットショップだからこそできること。ユニークな試みをいくつも、またすばやく実践してみることが、大手にはない“うちならでは”の販促方法のセオリーを見つけることにつながっていきます。


 売り上げが伸び、“次のステージ”を目指すとなると、在庫問題、人手不足の問題などの発生で、これまで通りの運営が通用しなくなることがあります。こうした問題にいかに対応するか――。次回も引き続き『漫画全巻ドットコム』の事例を紹介します。


――ネットショップのエキスパートが斬る!――

ショップ構築、集客、決済などネットショップ運営に必要な機能がすべて標準装備された「ショップサーブ2」を提供するEストアー。カスタマー本部でさまざまあなネットショップに指南する役割りを担う山中洋一さんに、中小ならではのショップ戦略について伺いました。

 中小規模のネットショップにとって、広告費はもちろん、販促にも費用をかけることは大手との差異化を図るためにも大切なこと。さまざまなキャンペーンを随時展開すると、「あの店は何かしら面白そうなことをしている」という印象をお客様に与え、何度も訪れてみようという気持ちにさせます。

 販促はいきなり莫大な費用を投じなくても、アイデア次第でさまざまなやり方ができます。たとえば、複数の商品を組み合わせ細かなカスタマイズに対応する、店名ロゴを印字した自店の段ボールを作成してお店の知名度を高める、売りたい商品のサンプル品を同梱して試しに利用してもらう――など、地道だけど、中小規模のネットショップだからこそできる販促をどんどん実践してみることが大切です。


常にメディア露出の”仕掛け”づくりを!

 また、プレスリリースをはじめ、メディアに取り上げてもらえる販促活動も、より多くの人に一気にお店を広める可能性があります。

 たとえば、ベビーグッズを扱うお店が体育館などを定期的に借りて「赤ちゃんのハイハイ大会」を開催する、といった手法です。かわいい子供の“晴れ舞台”となれば、遠方に住んでいる祖父母や親戚も駆けつけてくれる可能性がありますし、多くの人が集まると評判になれば、粉ミルクやおむつを扱う企業が協賛して、参加賞等の商品を提供してくれることも考えられます。こうしたユニークな試みはメディアの目にも止まりやすく、紹介してもらえる確率は高くなる――。こうした“仕掛け”は常に模索しておくべきです。

 また、ネットで評判になったスイーツを、デパ地下に売り込み、販売交渉するなど、“ネット以外”でも販促活動ができないか考え、販売網を広げていく姿勢も、これからはより求められるでしょう。


山中洋一:Eストアービジネス支援部マネージャー。アパレル、スポーツ用品店など、300店舗以上の店舗にコンサルティングを行なう。自身の卸売業や実店舗で仕事をした経験をもとに、商売人としてより高い意識を持って店舗運営を行なってもらえるよう、日々アドバイスに励んでいる。


協力:佐川フィナンシャル株式会社(http://www.sagawa-fin.co.jp/

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