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ママチャリ屋が高級店に Web展開でトップギア (1/2)

2009年08月21日 11時00分更新

文●三浦たまみ

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なぜ、あのネットショップは今日も繁盛しているのか? なぜ、自分のショップでは商品が売れないのか?
他にはない強い商品開発力、他店を引き離す圧倒的な集客手法、一度捕まえたお客を逃がさない囲い込み術……と、成功したネットショップには現場で蓄積されたノウハウがある。本連載では、全国の優れたネットショップの事例からそのノウハウを公開。あなたのショップの“勝ちパターン”を見つけるヒントにしよう。⇒連載インデックス

■今回の成功ネットショップ:
自転車販売『サイクルサービスおおやま』


1996年11月、千葉県松戸市に自転車販売の実店舗『サイクルサービスおおやま』オープン。同年、同名のホームページを開設。1997年8月よりショッピングカート機能を付け、ネットショップも本格的にオープン。現在は、ロードレーサー、マウンテンバイクをはじめ主にスポーツ自転車を中心に販売。年商7400万円(2007年時点)。


ターゲットは、スポーツ自転車初心者。その理由は?

 メタボリック症候群による健康志向の高まり、原油価格の高騰による節約志向の高まりなどにより、自転車が脚光を浴びています。長距離でもラクに走れるロードレーサーやマウンテンバイクなど、いわゆるスポーツ自転車の利用者が増加していますが、それをネットでいち早く扱い始めたのが、『サイクルサービスおおやま』です。

 今から12年前の1996年に実店舗を開業し、会社概要などを掲載したホームページを開設。翌97年には、ネットショップも本格的にオープンしています。97年当時の日本におけるインターネットの人口普及率はわずか9.2%(総務省「通信利用動向調査 世帯編」)。まさに“黎明期”からネットを活用していた、先見の明のあるショップです。

 『サイクルサービスおおやま』は、廉価なママチャリからスポーツ自転車に切り替えようとしている“スポーツ車初心者”をターゲットにし、確実に売上を伸ばすことに成功しました。


あくまでも自転車“本体”を買ってもらう

大山さん

店主 大山義治さん

 『サイクルサービスおおやま』の店主・大山義治さんは、自転車屋を経営する父親の背中を見て育ち、20代半ばで地元・千葉県松戸市に『サイクルサービスおおやま』をオープン。同時にホームページも立ち上げます。ショッピングカートをつけて本格的にネットショップを始めたのが1997年。当初は実店舗でもネットでも、一般のシティサイクル、いわゆる「ママチャリ」と呼ばれる1~2万円以内で購入できる自転車も多数用意していました。

「ママチャリもスポーツ自転車も、何でも揃う自転車屋という点をウリにしてお客様の選択肢を増やしたかったんです。ただ、ネットでは、近所の自転車屋にないからとスポーツ自転車に興味を抱く人の方が多かったですね。お客様の要望に応えようとするうちに、スポーツ自転車のラインアップが増えていった感じです」

 スポーツ自転車の主な客層は、40代後半~60代の男性。子供の教育費や住宅のローンなどにある程度のメドがたち、趣味にお金を使えるようになった年代です。大山さんは、この年代の中でも、自転車に詳しいマニア向けではなく、これからスポーツ自転車に乗ってみたいと考えている初心者に買ってもらえるお店を目指しました。

スポーツ自転車に乗り慣れている人を対象にすると、パーツなど細かい部品しか購入してもらえない可能性が高いんです。初心者の方であれば、自転車本体を購入してもらえます。どんな自転車が適しているのか、相談に乗りながら、その人に合う最適な自転車を提案したいと思いました」

 初心者にアピールするため、サイトデザインにはイラストをふんだんに使用し、親しみやすさを演出。また、シートピラーを「自転車の椅子を支えている棒」、サスペンションなら「椅子の下にサスペンションと呼ばれるクッションがついているので、悪路のでこぼこも吸収してくれる」など、極力、初心者に分かりやすい言葉に置き換えて説明する工夫をしていきました。

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