このページの本文へ

もうバイトは雇わない——成長ネットショップ逆転の発想 (1/2)

2010年04月21日 13時00分更新

文●三浦たまみ

  • この記事をはてなブックマークに追加
本文印刷

※この記事は、「徹底解剖! 成功ネットショップの現場ノウハウ」の第35回です。過去の記事もご覧ください。


 最初は家族や仲間内だけの少人数でうまく回っていたネットショップも、次第に人手の不足や増え続ける商品管理の手間といった、成長に伴う問題が発生してきます。気づいたときには「時、すでに遅し」とならないために、あらかじめ「自分のお店の将来像」をシミュレーションしておくことが大切です。

 そもそも、自分1人、あるいは数人で始めたショップが、それ以上のマンパワーを必要とするまでの規模に拡大する必要があるのでしょうか? 当然、「拡大する必要がない」と判断すれば、「現状維持」という選択肢もあるでしょう。逆に「できる限り拡大したい」のなら、いつまでに、どの程度大きくしたいのか。そのためにはどのタイミングで商品ラインナップを強化し、人材を補充するのか。予測を立てる必要があるのです。


「人を雇えば負担が減る」とは限らない

  たとえば人手を増やすとはいっても、「アルバイトを雇う」「外注に出す」「正社員を雇う」などの選択肢があります。一般的には、正社員 > 外注 > アルバイトの順に費用がかかりますが、どの方法をとるかはケースバイケースです。

 よくあるパターンは、クリスマスなどのイベントで梱包・発送作業に手が回らなくなり、アルバイトを雇うケース。確かに繁忙期に期間限定で人を雇うだけなら、その手はアリでしょう。しかし、イベントをきっかけに売上が伸び続け、結局は長期にわたって人手が必要になる場合もあります。そのときになってまた新たな人材を補充するとなれば手間がかかりますし、時間もかかります。「人を雇う」のはそれほど簡単ではありません。

 漫画の全巻セット販売を手がける『漫画全巻ドットコム』の安藤拓郎さんも、人材の確保では手痛い思いをした経験があります。

「土日を返上して終日梱包しても作業が終わらないことがあり、そのタイミングで5名ほどのアルバイトを雇って梱包発送作業をお願いしたことがあるんです。これで問題は解決したかと思ったら、そんなことはなかった。アルバイト同士でモメごとが発生したり、誰かが急に休んだりと、想定外のことが次々に起こったんです。人の管理の難しさを実感しました」

 外注や正社員に比べて費用を抑えられるアルバイトの場合、責任を負う必要がなく、イヤになったら今日にでも辞めてしまうこともあります。「アルバイトを雇ったから楽になる」とは限らないのです。人を雇う場合、まずは「本当に雇う必要があるか」を改めて検討する。業務を効率化できる点はないか、システムで解決できる問題はないか点検し、それでも雇うと判断した場合には業務範囲を明確にし、アルバイト、外注、正社員の誰に任せるのが適任か考えましょう。

■今回の成功ネットショップ:
漫画の全巻セット販売『漫画全巻ドットコム』

漫画全巻ドットコム


2006年8月、漫画の全巻セット販売に特化したネットショップとしてオープン。開業当初は中古本を扱っていたが、 2007年9月、すべての商品を新刊本に切り替える。2008年度後期の年商約7億円。楽天市場、Yahoo! ショッピング、ビッダーズにも支店がある。

前へ 1 2 次へ

この連載の記事

一覧へ

この記事の編集者は以下の記事をオススメしています