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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情第43回

AMDチップセットの歴史 その2

優れた内蔵GPUでシェアを広げたATIチップセット

2010年03月15日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/)

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ATI時代のチップセットロードマップ
ATI時代のチップセットロードマップ

ATI最初のチップセットはほとんど市場に出回らず

 今回は合併前のATI Technologiesのチップセットについて語ろう。ATIが最初に手がけたのは「S1-370」という製品で、2000年2月に開催された展示会「CeBIT」の会場で発表された。これは名前からわかるとおりSocket 370用のもので、内部に「DirectX 7のH/W T&L対応グラフィックスを統合」という話だったので、恐らくは「RADEON VE」あたりを統合したものと思われる。

 しかし残念ながらこのチップセット、確かに出荷はされたし一部のマザーボードメーカーの製品には採用されたものの、その数量は極めてわずか。筆者も日本で販売されているのをついぞ見かけたことがない。一応インテルの「Intel 810e」あたりを仮想敵として、より低価格かつ高性能というアピールをしたかったようだが、この2000年には「Intel 815」シリーズが投入されるわけで(関連記事)、勝ち目のない戦いであったのは致し方ないだろう。

RADEON IGP 320 RADEON IGP 320

 次に投入されたのが、2002年の「RADEON IGP 300」シリーズである。こちらはインテル向けに「RADEON IGP 330」「RADEON IGP 340」、AMD向けに「RADEON IGP 320」がそれぞれラインナップされる。ATIはこの頃、インテルからバスライセンスを受けてインテル/AMDの両プラットフォームに製品を展開するという事が可能になっており、これがラインナップにも反映されている。

 もっともこの頃、ATIはチップセットビジネスを甘く見ていた節がある。というのは、何しろシェアがほとんど皆無に近い状態からのスタートだから、「手広く両方手がけてシェア拡大を目論もう」という腹だったのだろう。だが実際にシェアが取れ始めると、とてもではないが両プラットフォームをきっちりサポートするには、当時の陣容ではリソース不足がはなはだしかった。

 加えて足を引っ張ったのが、サウスブリッジのできの悪さである。あるライターが当時の設計陣に「なんでこんなにひどいんだ?」と聞いたら「Mickey mouseなUSBのIPを買っちゃったからだ」(Mickey mouseはあのミッキーマウスのことだが、俗語では「くだらない、ちゃちな、三流の」といった意味もある)という返事が返ってきたとか。とにかく最初にリリースされたサウスブリッジであるIPX200のできはひどかった。

 もっともこの問題はATI自身も理解しており、自社のサウスブリッジ以外にALiのサウスブリッジも利用できるようになっていた。ALi自身もATI向けのサウスブリッジのロードマップをきちんと用意しており、「彼ら(ATI)はノースブリッジはいいものを造るが、サウスブリッジは我々のものの方が優れている」と明確に言っていた。結果、主要なベンダーはRADEON IGP+ALiのサウスブリッジという組み合わせを取ることが非常に多かった。


RADEON 9100相当のGPUを内蔵した
チップセットがヒット

 このRADEON IGP 300シリーズで、ATIはインテル向けマーケットで一定のシェアを握ることに成功する。インテルのPentium 4向け統合チップセットはALi、ATI、インテル、SiS、VIAの5社が提供していたが、この中で一番グラフィック性能が高かったのがATIだったからだ。

 そこでATIはこれに続く製品として、「RADEON 9100 PRO」(RS350)「RADEON 9000 PRO」(RX350)という製品を2003年に投入する。当初この製品は「RADEON IGP 350」という型番になるはずだったが、統合しているグラフィックがRADEON 9100相当ということで、これを型番に持ってくることにした。

RADEON 9100 PRO搭載マザーボードの例 RADEON 9100 PRO搭載マザーボードの例

 この製品は予想にたがわず、大きく売れた。RADEON 9100 PROはデュアルチャンネル、RADEON 9000 PROはシングルチャンネルメモリーとなる以外に大きな差はなく、バリュー~メインストリームのやや下の方といったボリュームゾーンにうまくはまることになった。

 2004年にはRADEON 9100 IGPから内蔵グラフィックを省いた独立GPU専用モデルも出すが、グラフィックを省いたのにRADEON 9000番台の型番はおかしいと思ったのだろうか? この製品だけは「RX330」という開発コード名がそのまま製品名としてリリースされた。

 ちなみにこの世代、サウスブリッジは「IXP200」と、これに微妙な改良を加えてSATA 150ポートを1本追加した「IXP210」、後継との中継ぎにあたる「IXP250」、そして「問題のあるブロックを全部まともなIPに切り替えた」と豪語した「IXP300」が入り混じっていた、ところが、まともになったはずのIXP300ですら、細かいバグが続出。結局、少しあとに「IXP320」をリリースするが、これでもまだバグが直りきっておらず、見切りをつけたベンダーがALi/ULiのサウスブリッジを使う、という構図はあいかわらずであった。

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