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Windows 7対応の裏側に見た国内ISVの秘めた実力 第9回

メガソフト「3Dマイホームデザイナー LS3」

好きな家を何軒も!使いやすさ追求の住宅建築シミュレーション

2010年03月04日 08時00分更新

文● 池田圭一

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Vistaに対応していれば、Windows 7対応はスムーズ!?

―― 今までのインタビューの中でも、Vistaに対応していれば(開発にはさほど苦労はない)と聞きましたが、実際はいかがでしたか?

平井 Windows 7への対応は苦労はなかったですね。Windows Vistaの時には、いろいろありました。例えば、住宅設備のパーツや壁紙などのデータ、設定データを、以前はProgram Filesの下に収納していました。それを、ユーザーディレクトリーの下のフォルダーに書き出だすようにしたのが、手間としては大きかったですね。

津田 3Dマイホームデザイナーの場合、プログラム本体が新OSに対応すればいいというものではありません。キッチン周りや、ソファー、ダイニングテーブルなどの設備・家具パーツがとても多く、またこれらのパーツは、随時追加できるようになっています。これらすべてをユーザーディレクトリーの下に引っ越すのですが、配布している試用版から製品版に移行するときの違いなどもあり、苦労しました。

―― Windows Vistaのユーザーアカウント制御や、セキュリティー強化に関してはどうですか?

平井 細かいところでつまずいたのは、管理者権限とユーザー権限の違いですね。起動時にアップデートの確認を行なっていたのですが、本来なら管理者権限は必要ないのに、権限委譲の手続きが発生してしまうのです。最終的に、プログラム名に特定の文字列(installやsetupなど)が入っていると、無条件に管理者権限での実行が求められる仕様になっていると分かりましたが……それまではずいぶん悩まされました。


Windows Vista/7対応で変わったこととは?

―― 使い勝手の面で、Windows VistaとWindows 7の違いはありましたか?

白内障や色覚特性がある方の見え方

白内障や色覚特性がある方の見え方も、3Dで確認できる

平井 Windows Vistaになって、ユーザーインターフェースを見直しています。お客さま側でWindowsのユーザーインターフェイスを変更しても、3Dマイホームデザイナーは、自分たちのカラーリングになるように設定しています。社内には反対意見もあったのですが、作業エリアやアイコンなどのバランスを取るためにフレームやメニューもそれに合わせたということです。

津田 3Dマイホームデザイナーは、ウィンドウを最大化して利用するアプリケーションだと考えています。そのためウィンドウの透過機能などは意識していませんが、OSのユーザーインターフェイスと違和感がないように調整しました。デザインソフトですから、あまりに乖離しているのも問題がありますしね。

―― Windows Vista/7対応になって、描画やレンダリングの部分で変更はあったのでしょうか?

平井 使い勝手のよさが一番なのですが、グラフィックス描画のレスポンスにも重きを置いています。Windows Vistaが登場した直後は、各社のグラフィックスドライバーがなかなか安定せず、アプリケーション側が影響を受けることもありました。

津田 描画品質の面から言えば、Direct Xへの対応が非常にメリットがあります。以前は、設計・編集中はパフォーマンスの問題から画質を落として描画し、最終出力で数十分かかるレンダリングを行なうというのが普通でした。しかし、最近のお客さまには、レンダリングに時間がかかるという概念がありません。完成したらすぐに印刷してプレゼンテーション資料に使いたいわけです。Direct Xのバージョンが上がって機能が向上することで、レンダリング時間をほとんど待たずに、リアルタイムできれいな画像を出力できるようになったのは、大きなメリットでした。

―― ネットワーク対応やインターネット利用の普及による変化はありますか?

3Dマイホームデザイナー PRO6はソーラーパネルにも対応

最新の「3Dマイホームデザイナー LS3」では、ソーラーパネルを採用した場合の日照量や発電効率などもシミュレーションできる

津田 インターネット経由で、家具や住宅設備の検索・ダウンロードを行なえるようにしています。これが容易に実現できるようになったのも、インターネット接続環境の普及のおかげですね。Windows Vistaのころから、インターネット接続のメリットが生かせるようになりました。

西脇 3Dマイホームデザイナーには、最初からパッケージに約7000点のパーツが入っています。しかし、家具や住宅設備は毎年新しいものが発表されますので、それを反映させるため、インターネット経由で3万点以上のパーツをダウンロードできるサービスを行なっています。サービスの利用は(プロ版の場合)月額3000円程度の有料とさせていただいていますが、家庭版(=施主のお客さま)は、家を建てた後は利用されないだろうということで、ユーザー登録後半年間は無償でダウンロードしていただけます。もちろん、ダウンロードしたデータは無償期間以降も使えます。

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