2月26日、ノベルは仮想化技術を用いることで、高速にDRを実現するアプライアンス「PlateSpin Forge」を発表した。発表会ではアプライアンスを箱から取り出して、発表会の時間内に利用可能な状態にするといったデモも行なわれた
仮想化を活用した
ユニークなデータ管理ツール群
PlateSpinは、物理サーバーと仮想サーバー間のマイグレーションを実現する製品群で、データを圧縮・差分転送することで効率的な移行を可能にする。ここ1年で、移行ツールの「PlateSpin Migrate」のほか、バックアップツール「PlateSpin Protect」、サイジングツール「PlateSpin Rocon」などを次々と投入している。
今回のPlateSpin Forgeでノベルが狙うのは、ずばりDR(Disaster Recovery)市場だ。企業の事業継続を実現するためには、業務データを確実に保護し、災害発生時に切り戻すDRが必須になる。ノベル 代表取締役社長の徳永信二氏は「今後数年でISOで事業継続マネージメント規格が発行される予定になっており、これに先んじて企業でDRを導入する動きも出ている」とDR市場の拡大について言及した。PlateSpin Forgeは仮想化技術を用いてDRを容易に行なえるようにするアプリライアンス製品で、「災害時の切り替えと切り戻しは業界最速と自負している」(徳永氏)という特徴を持つ。
続いて、製品概要について説明したノベル 営業本部 SEグループ マネージャー 鈴木広紀氏は「今までのDRはヒト、モノ、カネがかかっており、大きな阻害要因となっていた。しかも、複雑なシステムは敬遠されるし、高速回線は利用できない。復旧シナリオも具体化しないといけないし、コストも抑える必要がある」というDRの現状と課題をこう解説。これを解決するのが新製品の「PlateSpin Forge」である。
簡単に使える!PlateSpin Forgeが使えるまで
PlateSpin Forgeでまず強調されたのは、すぐに使えるという導入の容易さ。OSやアプリケーションまで搭載されるアプライアンスならではのメリットで、基本的にはネットワークに参加できればOK。発表会では、「箱からアプライアンスを出して発表会の時間内にDR可能な状態にまで持って行く」ということで、実際にアプライアンスを箱から出して、利用可能にまで持ってくるデモも行なった。アプライアンスを起動し、IPアドレスとパスワード等を設定し、Webブラウザのツールから保護対象のサーバー、同期スケジュールを設定すれば準備完了だ。
あとはPlateSpin ForgeのローカルHDDに仮想マシンを立ち上げ、最大25台までの対象サーバーのデータ、OS、アプリケーションなどをまるごとレプリケーションする。障害発生時はWebブラウザから切り替えを指示すると、待機サーバーに切り替え、業務を継続できる。リカバリーに関しても、「災害時に復旧先のサーバーが元と同じベンダーのモノでなくても、ベンダー固有のドライバをいっしょにリストアしてくれる」(鈴木氏)とのことで、安心だ。
ユーザーはサーバーごとに同期スケジュールも自由に設定できるほか、「VSSを使うことで、DBの整合性もカバーしている」(鈴木氏)ということで、機能面や精度もピカイチ。さらにPlateSpin ForgeはDRだけではなく、レプリケーションソフトが苦手とするバージョン管理や、テスト環境にも使えるといった特徴があるという。
そして最後に強調されたのが、やはりコスト。DRで用いられるレプリケーションでは待機系のサーバーにOSやソフトウェアのライセンスがかかるため、概して高くつく。PlateSpin Forgeの場合は、あくまで仮想化システム上のバックアップイメージになるため、半額近く安くなる試算もあるという。回線に関してもBフレッツ100Mbpsでも利用可能とのことで、DRで頭の痛いネットワーク関係の問題もかなり解消できる。