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iPhoneで操作! 未来のラジコンヘリ「AR.Drone」を触った

2010年02月25日 19時30分更新

文● 倉田吉昭

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純粋に「欲しい」と思わせる魅力にあふれるガジェット

 まずAR.Drone本体に対する評価だが、これは本当に面白いガジェットだ。誰にでも簡単に飛ばせて落ちにくいというのは画期的だし、それを支える様々なハイテク要素もガジェット好きにはたまらないポイントだろう。

 ただ飛ばすだけでも面白いし、内蔵カメラを使って撮影する映像にも大きな可能性がある。安定した挙動と自由度の高い飛行性能は、自然観察や高所作業の下見、ライブ会場の撮影など、さまざまな分野で歓迎されるだろう。AR.Droneで撮影したアクロバティックな映像がYouTubeなどで人気を博するのは間違いないと、自信を持って断言できる。

 また、アプリケーションで拡張できるのもユニークな点だ。録画/撮影用だけでなく、操作そのものを自動化するアプリも出てくるだろうし、iPhone用アプリだけでなく、AR.Drone自体をハックして完全に自律行動させたり、ハードウェアを改造してよりパワフルな機体を作り上げるユーザーが現れるかもしれない。

 筆者なら巨大なボディにヘリウムガスを詰めて浮力を補う、飛行船タイプの巨大Droneを作ってみたい(もちろん名前は「空中戦艦ゴリアテ」だ)。

 現時点では、2010年内に発売されること以外、価格や販売ルートなどは決定していない。内覧会に同席したParrotの方も価格設定についてリサーチされていたが、筆者の感覚では500ドル(約4万5000円)程度であれば間違いなく大ヒットするし、自分でも入手して飛ばしまくってみたいと思う。


対戦できるフィールドがほしいところ

 しかし、同社が考えているようにゲーミングデバイスとして受け入れられるかは、正直なところ日本では微妙だろう。まず、日本国内ではラジコンヘリを自由に飛ばせる場所が(特に都市部では)少ないし、室内で飛ばすにしても、日本の住宅事情を考えると難しい気がする。

 ARを使ったゲームにも大きな可能性を感じられるが、現時点では操作しているユーザーのiPhoneの画面にしか表示されないため、ギャラリーと一緒に楽しむことができない。iPhone用ビデオケーブルを繋げばテレビなどに表示することもできるが、屋外ではそうもいかない。個人用よりも、ゲームセンターやテーマパークのアトラクションのひとつとしてのほうが受け入れやすいだろう。

 一方で、個人向けにAR.Droneを飛ばしたり、対戦できるフィールドを提供するところが出てくれば面白い。デモアプリにあったようなFPSだけでなく、宝探しや特定のコースを巡るレースといったゲームが出てくれば楽しめそうだ。


 AR.Droneは、ParrotのCEOであるアンリ・セイドゥ氏が抱いていた、「ビデオゲームを外で遊びたい」という夢を具現化したものだという。高度なテクノロジーを多数投入していながら、技術を前面に出すのではなく、目的を達成するための手段として使いこなしている様は美しい。テクノロジー主体に製品を作り出していく日本のメーカーにはなかなか見られないモノ作りの姿だと感じられた。

 発売まであと数ヵ月あるが、その間貯金して待つだけの価値はあると断言しよう。興味があるのにiPhone/iPod touchがない人は、今のうちに入手して、タッチ操作に慣れておいてはいかがだろう。

 なお、仏ParrotはWi-Fi、Bluetoothといったワイヤレス技術を得意とした企業で、自動車用のハンズフリー機器で世界的なシェアを持つほか、Philippe Stark、Martin Szekely、Andrée Putmanといった著名デザイナーとのコラボレーション製品群「PARROT Design By collection」シリーズをリリースしている。


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