「AR.Drone」は、1月のCESで発表されたばかりのクアドリコプター(4ローター式ヘリコプター)だ。発表時にYouTubeで公開した上の動画が大きな話題となったため、ご存じの方もいらっしゃることだろう(関連記事)。
動画ではいかにもスイスイと自由自在に飛ばしているが、ヘリと言えばラジコン操作の中でも最難関と言われるジャンル。本当に誰もがこのように自在に飛ばせるのか、正直疑問もあった。今回、日本でお披露目された試作機に触れる貴重な機会に恵まれたので、その操作感をご報告しよう。
まさに空飛ぶコンピューター!
まずはAR.Droneについて説明しよう。AR.DroneはiPhoneやiPod touchで操作するラジオコントロールの4ローター式ヘリコプターだ。本体からは4方向に、ブラシレスモーターで駆動する4つのカーボンファイバー製ローターが飛び出ている。
iPhoneとの接続時はAR.Drone自体がアクセスポイントとなるため、あとはiPhoneさえ持ってくればどこでもすぐに飛ばすことができる。電源は内蔵リチウムポリマーバッテリーで、約15分間の飛行が可能だ(充電は約90分)。
屋外だけでなく室内で飛ばすことも考慮しており、EPP(発泡ポリプロピレン)製のハル(シールド)も用意する。このハルを装備すると本体が大きく、重くなるが、ローターが直接ものにぶつかる心配が大きく軽減されるというわけだ。本体はハル込みで約400gと非常に軽量で、見た目の大きさと比ベると驚くほど軽く感じる。
先端にはビデオカメラが付いており、ここで撮影した画像はリアルタイムでiPhoneにストリーミング配信される。
初出時、重量の記載を誤っておりました。訂正してお詫び申し上げます(2010年2月26日)
AR.Droneで特筆すべきは、その優れた安定性だ。本体には3軸の加速度センサーと2軸のジャイロスコープ、1軸の偏揺れ精密ジャイロスコープを内蔵。さらに底面には、超音波センサー(約6mまで検知可能)と60fpsのビデオカメラが備わっている。加速計により傾きを、超音波センサーで高度を、底面カメラの映像で速度などをそれぞれ検知している。
これらのデバイスをARM系プロセッサ(ARM9系、468MHz)上で動作する組み込み系Linuxでリアルタイムに処理・制御することで、風速10mの場所でも安定して飛ばせるという。そのスペックは、下手なPDAやスマートフォンも顔負け。いわば、小さな空飛ぶコンピュータなのだ。
