コンパクトでも豊かな低域、便利なタイマー機能も
ヤマハの「TSX-70」は、同社のデスクトップオーディオの最新モデルだ。ミドルクラスに当たる製品で、価格もおよそ2万円と手頃になっている。
なんといっても、横幅210mmのコンパクトなサイズがいい。しかも、左右の2つのスピーカーに加えて、底面にウーファーを備えた2.1chシステムで、コンパクトなシステムにありがちな低音不足の非力さを心配することもなさそう。これは期待できそうだ!
しかも、ただのiPodスピーカーだけでなく、FM/AMチューナーに、外部入力としてステレオミニ端子も備えている。もちろん、時計機能付きでスリープやスヌーズ付きの目覚まし機能、タイマー機能までも装備。これはまさに「ちょうどいい」製品だ。
対応するiPodも豊富。第5世代以降のiPod(iPod Classic)をはじめ、iPhoneにも対応する。もちろん、私の所有する現行型のiPod nanoもOKだ。
痒いところに手が届く作りの良さに感激
貸出機をさっそく箱から出してみる。コンパクトなボディは作りもガッシリとしていて頼もしい。これなら肝心のサウンドにも期待できる。ボディがひ弱に感じる製品は、たいがい音も期待できないことが多いからだ。
外装のベージュ色の部分はレザー調の仕上げとなっており、しっとりと手に馴染む質感が心地よい。対照的に前面のパネル部は光沢仕上げ。アンティークなオーディオ機器風のデザインも洒落た小物のよう。2万円のお手軽なオーディオシステムとは思えない作りの良さには大満足だ。
貸出機は白に近いベージュカラーのモデルだが、このほかにもダークブルー、ブラウンの合計3色のカラバリがあるので、部屋に合わせて選ぶのも楽しそうだ。
電源を入れて、最初にチェックしたのは調光機能。いわゆるクロックラジオの場合、調光機能は個人的に欠かせない。なぜなら、明るい部屋では眠れない体質だから。真の闇でないと落ち着かないほどの夜の住人ではないが、人工的な光が枕元で煌々と輝いているのは気になってしまう。
また、AVシステムのあるリビングに置くことを考えると、消灯して映画を見るときに、時計表示が明るすぎると目障りだからだ。本機の調光は3段階に調節できるが、このほかに「オート」も選べる。部屋の明るさを検出する照度センサーを搭載しており、自動で部屋の明るさに合わせて3段階の調光を切り換えてくれるもの。これはかなり便利で、明るい部屋でも照明を落とした部屋でも、いつでもちょうどいい明るさで時間を確認できるのがありがたかった。
正面のダイアルは左から、ソース(iPod/AUX/RADIO)、ボリューム、FM/AM局のプリセット切り替えとなる。ボリューム操作時はフロントパネルがボリューム数値の表示に切り替わる。
何よりも特筆したいのがリモコンの使いやすさ。付属のリモコンは手の中にすっぽりと収まるカードタイプリモコンで、このリモコンだけでiPodの操作もすべて行なうことができる。
実は、こうしたiPodスピーカーで一番気になるのがリモコンだ。モノによっては、再生と一時停止しかできないようなシンプルなものもあるし、正直なところ、これならiPodを直接操作したほうが使いやすいというものも少なくない。
ところが、「TSX-70」に付属するリモコンは、上部にMENU、下部に再生/一時停止、左右が前後のスキップというiPodと同じ配置の十字キーを採用し、しかもスクロールホイールの動きを模した右回り/左回りボタンも備えている。このため、iPodでの操作とまったく同じ感覚でリモコン操作ができてしまう。これは極めて便利だ。