多機能でもわかりやすいメニュー
機能が多いというのは、メニューに表示される項目も増えるということで、一般のテレビユーザーには使いにくい印象になることもある。実際のところ、三菱から本機が発表されたとき、一番心配したことが「テレビとして使いにくくなってしまったらダメだろう」ということ。テレビ録画ができるのは便利だが、ダビングや編集までできるとなると、操作メニューの機能一覧の印象も変わるし、手軽に使えるテレビでそこまでやりたいと思う人も少ないだろう。
その点、実際よく出来ているなと改めて感心したのが三菱の操作メニュー。メニューの一番上にある「今すぐできること」が秀逸で、テレビ視聴中なら画質調整や音質調整などの機能だけをピックアップしてくれる。そのため、いちいちメニューの深い階層まで下りて目当ての機能を探す必要はほとんどない。そもそも、録画・再生・ダビングといった操作も簡単かつわかりやすいので、機能が多すぎて使いにくいと感じる人はほとんどいないだろう。
そして、録画テレビとの相性抜群の機能が「オートカットi」。これは、自動チャプター分割をベースにした機能で、本編とCM部分を識別してチャプターを分割。しかも番組再生時には、あらかじめ設定した本編またはCM部分だけを連続再生することができる。録画した番組をCMなしで自動的に再生できてしまうのだから、視聴中にいちいちチャプタージャンプ操作をする必要もなく、極めて快適だ。
さらに、このまま本編またはCMだけをBDにダビングできるので、編集作業の必要もない。まあ、CMが残ってしまうようなこともあるので、CMをすべて削除し、予告などもきっちり残したいという人には不満はあるが、ほとんど操作不要の編集はとても便利だ。
このほか、分割したチャプターの先頭画面を一覧表示し、見たいシーンへすばやく移動できる「チャプター一覧」などの便利機能も備える。スポーツ番組では、盛り上がったシーンだけを集めて短時間で再生でき、音楽番組では音楽部分とトーク部分を分割し、音楽部分だけ再生できる「みどころ再生」などの機能もそのまま備えている。
こうしてBDレコーダーがテレビに内蔵されてみると、もともと録画テレビとして開発されたようにさえ感じてしまう。同社のBDレコーダーは初めてレコーダーを使うような初心者に優しい作りとなっているのが最大の特徴だが、録画テレビとなることでその特徴がさらに際立っている。これならば、今まではテレビでは音量ボタンと選局ボタンしか使ったことがない人でも、最初に取扱説明書をちょっと読むだけで、録画予約から編集、ダビングまですぐにできるようになるだろう。
なお、操作感でやや気になったのは起動時間。BDレコーダー同様に起動にやや時間がかかるのが唯一の弱点。高速起動も選択でき、その場合ならほんの数秒だし、レコーダーとしては早い部類ではある。しかし、電源オンですぐに放送が表示される最新の薄型テレビの場合として考えると、少々待たされる印象はある。