物作りの本質に迫っているアップル
松村 どちらかというとiPhone一色に見えたアップルですが、Snow Leopardのリリース、Macのラインアップ刷新なども含めて、いろいろなニュースがありましたね。
林 やはり(一番のニュースは)スティーブ・ジョブズの復帰。元気に仕事をしていて、元気すぎるぐらいのようですよ。また、先ほども述べましたが、アップルはフィードバックを顧客だけでなくプロダクトの間でも交わしているように思います。たとえばiPhoneの学びをMacBookにフィードバックしたり、その逆になったり。2009年はハッキリ言って、目新しい製品は1つも出てこなかったのですが、一方でアップルの物作りが本質に迫ってきているように感じました。
松村 ラインアップもシンプルだし、Macをどんな目的で選べばよいか、という選択もまたしやすいんじゃないか、と思います。コンピューター市場はWindows 7やChrome OSの登場で活気づいてきていますが、存在感はキープしているんじゃないか、と思います。nobiさん(林さん)は2009年、1台新しいMacを買いましたよね。
林 そうですね、15インチのMacBook Proは非常に満足しています。ただ、MacBook Proを使っていると、ついついMacBook Airの薄さ、軽さが恋しくなったり、一方でMacBook Proのパフォーマンスに満足しているタイミングがあったり。なかなかワークスタイルの変化も頻繁になると、マシン選びも難しくなってきますね。
松村 まさに僕もちょうど今MacBook Proが気になっています。2009年の後半「ノマドワーク」というキーワードが登場してきて、僕も常に動きながら仕事をするようになっています。モバイルには軽くて薄いMacBook Airがちょうど良かったのですが、仕事のフル環境を持ち歩くノマドワークにはMacBook Proのパワフルさもほしくなります。最近、HDビデオをちょっと編集して記事につける、なんてことも増えてきて。
林 それにしても、物作りの本質にアップルが踏み込んできている点は2009年の進歩だったと思います。パソコン筐体の製法までメーカーがこだわって作る。そこまでやるメーカーはなかなかなくて、ちょっと先に進んだ気がしているんです。
松村 またアップルのウワサとしてはタブレット型のマシンへの関心が高まっていますね。年明け以降、なんらかのアナウンスがあるのでしょうか。
林 タブレット型のマシンはMacなのかiPhoneなのかも含めて憶測を呼んでいますね。関係筋だとiPhoneベースになるのではないかと言われていて、スクリーンサイズもiPhoneの倍以上になり、VGA程度の解像度と言われている。サイズの割に解像度が低いでしょうね。でもこれはiPhoneも同じです。日本のケータイよりも大きい画面で低い解像度。しかし文句を言う人は少ない。見やすさ、使いやすさ、コンテンツの作りやすさのバランスが大切だということですね。
松村 バランス感とともに、その端末を使ってなにが体験できるのか、という点がとても大切に思います。端末に搭載された機能を使って、なにができるのか。確かに1000万画素を超えるカメラ、100連写ができるカメラもまさに「ケータイのミクロな魅力」なのですが、生活のミクロな変化にしかなりませんもんね。
林 重要なのは大きさ。今のパソコンの画面って大きすぎるけれど、iPhoneはすべての要素を集中してみられる。これより大きくなるとおそらくフィットするコンテンツは雑誌のようなものになるんじゃないかな。
松村 プレゼンテーションが目に浮かびますよね。「iTunes Storeには音楽があり、映画があり、ミュージックビデオがあり、アプリまである。なにか足りないものがないだろうか?」という前振りで披露しそうですね。
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