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MARKETING 編集者の眼第7回

アクセス解析セミナーで参加者が聞き入る4テーマ

2009年12月15日 22時00分更新

文●中野克平/Web Professional編集部

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 Web業界で今年最大の関心事はアクセス解析だったろう。私が把握しているだけでもアクセス解析をテーマにした書籍が8冊以上刊行されたし、アクセス解析をテーマにしたセミナーの告知依頼もWeb Professional宛にずいぶんあった。アクセス解析についての認知も高まり、いよいよデータに基づく合理的経営が日本でも始まるのかと思っていたが、どうやらそうでもなさそうだ。

 Webアナリスト市嶋泰樹氏のブログ「makitani.com」に、Google Insights for Searchで「アクセス解析」、「SEO」、「SEM」の人気度の動向(検索トラフィックの相対量)を調べたら、アクセス解析だけ右肩下がりというエントリーが掲載されている(当該エントリー)。

 市嶋氏も「ええと、ネタですよ」と書いているとおり、キーワードに「Google Analytics」を追加すれば「アクセス解析」に迫る検索ボリュームがあることがわかるので、「アクセス解析」が右肩下がりで「SEO」、「SEM」が右肩上がりという単純な理解はやめた方がよいだろう。

 とはいえ、「アクセス解析」が実は盛り上がっていない、ともいえるわけで、どういうことなのか、Google Analyticsの連載を続けている身としては気になる。先日、アクセス解析イニシアチブ主催の「リスティング(PPC)広告とアクセス解析セミナー」(11月18日開催)に招待されたとき、どんな内容が話されていて、どんな内容に聴衆が聞き入っていたか、考えてみた。

 1人目の講師はSem-laboの阿部圭司氏で、キーワードの選定、広告文の作り方からCPA単価の算出方法など、SEM(リスティング広告)の基礎知識からアクセス解析によるキーワードの効果測定を「成果を上げるリスティングの鍵はアクセス解析」と題してノウハウが披露された。CPA単価の上限は、個々の商品の粗利ではなく、リピート商品であれば顧客のリピート率も加味して決めるべきといった内容が個人的には面白かったが、参加者がうなずいたり、ペンを多く動かしているのは違った。広告文には必ずキーワードを含めましょう、オーバーチュアのスポンサードサーチの部分一致は曖昧度が高く、思いもしないキーワードのコンバージョンが確認できるといった、会社に戻ってすぐに実践したり、確認したくなる内容の方が参加者の受けがよいように思えた。

 2人目の講師はビービット取締役の中島克彦氏。「成果を上げる!効果測定・改善のポイント」と題し、WebサイトのPDCAは抜本改善と運用チューニングに分けて考えるべきなど、Web戦略に関わる立場であれば誰でも知っておくべき内容をロジカルに説明する姿が印象的だった。ところが、聴衆の関心は私とはやはりずれていた。資料請求ではなく実際の成約まで見ないと本当のコンバージョン率はわからない、コンバージョンの少ないアフィリエイト広告をやめたら、リスティングや自然検索からのコンバージョンも激減した、といった実践的な説明にうなずく聴衆が多いように思えた。

 Google Insights for Searchで「アクセス解析」が右肩下がりでも「Google Analytics」や「SEO」、「SEM」が右肩上がりなのは、データを分析し、現象を構造的にとらえ、問題を発見して対策を考えるという、おそらく本当の意味での「アクセス解析」がまったく浸透していないのが原因ではないだろうか。むしろ日本企業の現場が直面しているのは、どうしたら上手に広告文を作れるのか、リスティング広告とアフィリエイト広告の適切な予算比率は何なのか、といったWebマーケティングの入り口にある敷居の部分ではないのか、という仮説を築きたくなった。

 不況、デフレ、円高など、来年も大変な年になりそうだが、「賑わうWebマーケティング、儲かるネットショップ」が実現できるように、データに基づく合理的経営を促せるようなWebサイト「Web Professional」を作りたい、と感じた。

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