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カテゴリ設計は楽天と独自ドメイン店で使い分け! (2/2)

2009年11月06日 11時00分更新

文●三浦たまみ

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「ムニュムニュ」「ほんわか」など商品の感触などを分かりやすく表現

 続いて、枕のなかでも人気の抱き枕に特化した専門店『抱き枕.com』の商品カテゴリを見てみましょう。『抱き枕.com』では、抱き枕を主に「こだわり別」「素材別」 「カタチ別」「価格別」「ブランド別」の5つの商品カテゴリに分類しています。中でも圧倒的なクリック率を誇るのが、[こだわり別で選ぶ]のカテゴリです。

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『抱き枕.com』

 漠然と枕を探す人が多く来店する『枕ぐっすりショップ!』とは異なり、『抱き枕.com』のユーザーは枕の中でも抱き枕だけを探している人が中心です。

「ただし、抱き枕が欲しいとは思っているけど、どんな抱き枕があるのか、その種類に関してはさほど詳しくないというお客様が多いんです。そこで商品カテゴリでは、お客様が抱き枕に何を求めるのか考えながら、[ムニュムニュ感がたまらない] [ほんわか暖かい] など枕を抱いたときの感触を具体的に表現したり、[横向き寝&うつぶせ寝が楽ラク][イビキや腰痛を和らげたい]など、枕の効用や機能を示すなど、お客様に伝わりやすい表現を心がけました」

 こうした商品カテゴリの表現は、社内全員で話し合いながら決めていきます。「実はうちで販売している枕は、私も含めスタッフが実際に枕を試し、使用感を確かめた上で及第点以上になった商品だけを扱っています。こうした経験が、枕の感触や使用感を表現するときにおおいに役立っていますね」

 また、[こだわり別で選ぶ] など独時の視点で考えた商品カテゴリを設けたことは、サイトのオリジナリティを演出することにも結びついています。

「 [価格別] [ブランド別] などのありきたりな商品カテゴリでは伝えにくい、“楽しい”“驚き!”“かわいい”などの感覚的な部分を強調できるため、他店ではできない細やかな商品選びができると思います。『抱き枕.com』は商品を絞り込んでいるため点数は約300点と少ないのですが、商品カテゴリの表現に工夫を凝らすだけでも、それを十分にカバーすることはできると思います」


 『抱き枕.com』では、長さ3メートルもある抱き枕やマシュマロ枕など、さまざまなオリジナル商品を多数開発しています。河元さんは、まくらのネットショップを始めた当初からオリジナル商品の開発に力を注いできました。次回は商品開発のポイントに迫ります。


――ネットショップのエキスパートが斬る!――

 Webサイトマーケティング・コンサルティングと同時に、多くのEC支援ツール提供を手がける「株式会社ねこすけ」の福井敏治さんに、ネットショップでのカテゴリ作りにおける注意点とコツについてお話を伺いました。



ユーザーが求めるものを具体化する商品カテゴリ

  河元さんの場合、[素材別] [用途別] など誰が見ても分かるように商品カテゴリを整理し、新規ユーザーを迷わせることなく目的の商品にたどりつけるようにしている点が秀逸です。しかし、同じように素材や用途などのカテゴリ分けをしているのに、ユーザーには分かりにくい、伝わりにくいショップも多く見受けられます。  一般的に商品点数が100点を越えるとカテゴリの整理がうまくいかなくなるケースが増えるようですが、何とか整理しようと、とってつけたような商品カテゴリを安易に増やしてしまうのは禁物。ユーザーが何を求めてサイトに訪れているのか分析した上でカテゴリ分けを考えなければ、誰にとっても分かりやすく、買いやすいサイトには決してならないのです。


「商品に関するFAQ」をカテゴリのひとつにするのも有効

 私がおすすめしたいのは、最初に [機能別] [素材別] などメインとなる商品カテゴリを設定したら、あとは、[○○を探している方へ] [○○でお困りの方へ] など、顧客の目的や悩みに応じたカテゴリを適宜作成していくこと。検索キーワードなどをチェックしながら、ユーザーが何を求めて来店しているのか考え、それを商品カテゴリとしてダイレクトに反映させるというわけです。[機能別] [素材別] などで商品カテゴリを分けた場合、商品によっては自分が求めているものがあるのか判断しにくい場合もありますが、[○○を探している方へ] などの方法であれば、自分に関係あるのか否かはっきり分かるメリットもあります。

 商品に関する「FAQ(質問と回答)」をカテゴリのひとつとして用意するのも有効です。枕を扱うお店なら、「○○のような枕を探しているんですが……」という質問(Q)を立て、それに対する回答(A)として、その商品の説明と、該当する自社製品の画像を並べていくわけです。ユーザーにとっては、欲しいものにダイレクトにたどりつく可能性が高いので、場合によっては普通の商品カテゴリよりも使いやすいといえます。

 商品カテゴリに工夫し、誰もが迷わないよう目的の商品を購入できる態勢が整ったら、リピーター対策として、ユーザーごとの「マイページ」を設置しそこに直接飛べるような仕組み作りができないか検討しましょう。マイページを設置すれば、ユーザーがこれまでの購入履歴やお気に入り商品を登録しておくことができるだけでなく、その人に合う売れ筋商品などを自動的に表示させることができます。ユーザーにとっては、自分が好む商品、目的の商品に簡単にたどりつくことができるため、膨大な商品群から1つ1つクリックしてたどる手間が省けます。


福井敏治株式会社ねこすけ代表取締役。獨協大学卒業後、独立系IT会社「インテック」にて企業のイントラネット、インターネットなどの構築に携わる。2001年より、Webマーケティング会社イーナチュラルの立ち上げに参加。Web構築、コンサルティング、Web運営に携わる。2006年4月に「ねこすけ」として独立。Webマーケティングのノウハウとツールを提供しながらサイト運営をサポート。無料LPOツールや、営業マン向けアクセス解析ツールなども提供している。


協力:佐川フィナンシャル株式会社(http://www.sagawa-fin.co.jp/

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