このページの本文へ

制作現場で活きるワークステーション

不毛地帯はこうして生まれた

2009年10月26日 09時00分更新

文● 遠竹智寿子

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

陰影はテクスチャーで再現、メモリーも大食い

 後半では、不毛地帯の制作環境を中心に見ていこう。

サーバールームにおかれたブレードワークステーション

 現場ではレンダリング作業が開始される8月の導入を目途に、ワークステーション・システムの検討が始まった。

 この作業はリーダーとなる新井清志氏(技術開発局設備対策室設備運用部 副部長)のもと、システムエンジニアの遠山健太郎氏と中山陽介氏らが行った。エンジニアたちは通常は、ほかのフジテレビ番組で使用されているCG制作システムの運用も行っている。

 こうしたスペシャル番組のために新システムを導入するのは、同局が4年前に放送した『西遊記』以来だという。

遠山 「西遊記は、ある意味ファンタジーの世界の話だったが、今回は昭和という実際に存在していた背景があるものです。その部分で、制作にエンジニアも含めたメンバーたちが感じているプレッシャーは、以前よりも高いものでした」

 不毛地帯の制作に当たって、レンダリング用、CG制作用として以下のシステムが導入されている。

ブレードワークステーション
HP Blade Workstation xw460c 16台
CPU Xeon E5430(2.66GHz)×2基
メモリー 8GB
HDD 73GB(SAS)
グラフィックス NVIDIA Quadro FX770M
OS Windows XP(64bit版)
SIMサーバー(管理用)
HP ProLiant DL360 G6
CPU Xeon L5520(2.26GHz)
メモリー 4GB
HDD 146GB×2(SAS)
OS Windows 2008 Server
デザイナー用ワークステーション
HP Z800 Workstation 5台
CPU Xeon W5580(3.2GHz)
メモリー 8GB
HDD 146GB(SAS)+450GB(SATA)
グラフィックス NVIDIA Quadro FX4800
OS Windows XP(64bit版)
ディスプレー HP DreamColor LP2480zx プロフェッショナル液晶モニタ 4台

 アプリケーションソフトとしては、デザイナー用のワークステーション上で、3ds max(3台)とMAYA(1台)がCG制作用に使われている。またオフラインでのレンダリング作業も行われている。

 また、管理ツールとしては、3ds max用に付属しているネットワークレンダリング構築・管理ツールBackburner、MAYA用には、遠山氏と新井氏らがやはり『西遊記』制作の際に開発し、ノウハウを蓄積した「RENDER SPICE」というツール(現在販売も行われている)を利用している。

システムダイアグラム

 ハードウェアはHP製で統一されているが、製品導入を決定付けた理由は下記のとおりだと説明する。

遠山 「もともと西遊記をやった時にHPのワークステーションを使っていて、信頼感がありました。ほかにもワークステーションを出しているメーカーはありますが、HPは映像業界に真剣に取り組んでいると感じています。特有な業界なので、特有なニーズが発生しますが、その点を理解してもらえるのが現場の人間としては大きい」

カテゴリートップへ

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ