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制作現場で活きるワークステーション

不毛地帯はこうして生まれた

2009年10月26日 09時00分更新

文● 遠竹智寿子

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不毛地帯のCG制作の裏側を探る。写真はデザイナー用のワークステーションとして導入した「HP Z800 Workstation」

 フジテレビ開局50周年記念作品『不毛地帯』番組サイト)が、10月15日にスタートした。終戦直後から高度経済成長期の昭和30年代を舞台に「剥き出しの人間ドラマ」を描く。不毛地帯は毎週木曜日22時からフジテレビ系列で放送中だ。

 このドラマでは、当時の風景や街並みの再現にCGやVFXが駆使されていることをご存じだろうか? 3DのCGやVFX等と聞くと、アニメや特撮などがイメージされがちだが、今回の不毛地帯のようなリアリズムを追求した作品にも、現代のCG技術が底力を発揮している。そこではより実写に近く、さりげない形でCGが使われているのだ。

 実写とCGの合成/編集作業の結果は表には出にくい。とはいえ、毎週無事に放送を迎えるためにクリティカルな部分でもある。このCG制作には総勢約40人の専門スタッフが関わり、2D/3Dデザイン、マット画制作、合成、編集などを担当した。

 番組制作の舞台裏を、同番組のCG統括ディレクター及び3DCG制作スタッフ、システム担当者たちに伺った。


CGが目立ったら負け

 「今回のCGは、目立たなければ成功。視聴者に意識させてはならない」──そうコメントするのが不毛地帯のCG統括ディレクター冨士川祐輔氏だ。

フジテレビジョン ライツ開発局コンテンツ事業センターCG事業部 主任冨士川祐輔氏

 番組制作プロデューサーから「昭和30年代を舞台にした大型企画がある」と持ちかけられたのは約1年前。「CGを使った連ドラとして可能にする策を考えてほしい」と依頼された。その後スタッフィングなどを経て、今年4月にCG制作が本格的に稼働する。

 不毛地帯は、半年間に渡る長丁場での連続ドラマだ。番組の制作も放送と平行して進められる。

 CGを取り入れる場合は(その量はともかくとして)撮影した素材をコンピュータに取り込んで出力するまで、通常1ヵ月程度は必要だ。作業期間が確保できなければ、そのぶんだけできる作業に制限が加わる。しかし、連ドラは時間との戦い。撮って出し※1も珍しくなく、ポスプロ※2の時間も多くはとれない点に苦労がある。

※1 編集時間がない場合などで、撮影した映像をそのまま放送に使う制作形態
※2 撮影後の編集、VFX、オーサリング、方式変換などの作業全般

冨士川 「オンエアの1週間前に撮影が終了し、次のオンエアまでの作業を間に合わせるのが物理的に可能なのか? 具体的には、人的な作業にプラスしてレンダリング部分、そしてコンポジットしてテープにするまでの時間を、どれだけ縮められるのかをシステムチームと議論しました」

 一方でCG制作チームには「スピード」と「クオリティ」のバランスを見つけ出して作業することをリクエストした。

冨士川 「映画制作と大きく違うのは、システム構成や掛ける予算というよりは“掛ける時間”です。しかし、それは制作者側の理由であって、視聴者から見れば、連ドラでクオリティが落ちるというのは言い訳でしかない。1ヵ月、1年掛ければできますではなくて、限られた時間内でどこまでクオリティーを高められるかを念頭に置きつつ、アプリケーションとシステムを選定してほしいと伝えました」

 その時点でスタッフたちには、「可能かな?」という相談の仕方はしなかった。「目的を達成するためにどうしたらいいか、はめ込んでいくための最善の策、プランを出してほしい」と伝えたという。

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