10月8日、PFUは記述内容を暗号化した紙文書を作成する暗号化ソフトウェア「DocEncrypt(ドックエンクリプト)」の販売を開始した。富士通研究所が開発した暗号化技術を元に、デジタル文書だけではなく、紙文書まで暗復号を実現する。
DocEncryptは、ファイル内の指定部分を暗号化した後、プリンタで印刷するソフトウェア。逆に印刷された紙文書を再度スキャンし、DocEncryptに読み込ませることで復号が行なえる。暗号化される箇所は画像ファイルとして認識され、非常に細かい単位でスクランブルをかけられた後、暗号化が行なわれる。高度な画像処理技術により、印刷物の歪みやかすれなどを自動的に検知できるのが特徴だという。
機密情報を別途サーバなどに保存しておくのではなく、印刷された紙文書だけから復号できるのがポイントとなる。また、通常のドキュメントの暗号化ツールはファイル自体をパスワードで守ることが多いが、DocEncryptではパスワードを変えることで、人によって読める部分を変更することができる。もちろん、紙に出力せず、データの一部分のみを暗号化すると行った処理も実現。暗号化したファイルをPDF、JPEGやTIFFなどに出力することも可能だ。
1枚の用紙に同じ内容を2ヶ所記述し、1ヶ所をDocEncryptで暗号化、もう1ヶ所を平文のままとしておくことで、紙文書の改ざん検出としても利用できる。暗号部分を復号した際に、平文の部分と内容が異なっていれば、改ざんされたと判断できるわけだ。さらに、定型ファイルでの暗号化領域をあらかかじめ指定しておくテンプレート機能も用意された。
対応OSは、Windows XP/Vista/7の各32ビット版。スキャナは、同社の業務用イメージスキャナ「fiシリーズ」とパーソナルドキュメントスキャナ「ScanSnap」が推奨製品となる。価格(税別)は3万6000円で、サポートパッケージが年間5400円。
本製品は、2010年2月に始まるコンビニでの住民票の写しと印鑑登録証明の交付における偽造防止対策にも利用される予定という。