デフレ、グローバル化といった要因が背景に
在庫を適正化するために大きな武器となるのがITだ。複数の部署をネットワークで結んで共通するシステムを利用することで、「どこにいくつの在庫があるか」が明確になる。在庫がどこにあるのかが明らかになると、納期も正確に読める。
前ページで触れた2社は、業種、会社の規模も全く異なる。導入したシステムも全く異なり、導入したベンダーだって違う。それにも関わらず、2社とも「在庫を適正化し、不良在庫を少なくする必要がある」と口を揃えた。
ちなみに、1社はメーカーで、1社は商社だった。どちらの企業も扱っているのは特定業務で利用する製品。それぞれの分野で高いシェアを持ち、圧倒的な強さを見せているにも関わらず、「在庫の適正化を進め、低コストに耐えうる体制を作らなければならない」と強調していた。厳しい経営環境に勝ち抜くために、企業は必死に戦っているのだ。
汎用のシステムでは、日本の製造業に対応できない?
企業の情報システム導入の中で、最も導入が難しいとされてきたのが販売や在庫といった部分だ。販売管理といわれるのは、「見積・受注・売上」という一連の業務を管理するわけだが、見積から受注までの期間は業種によっても全く異なる。
以前、新聞販売業を営む企業向けシステムを開発している企業を取材したことがある。
「新聞は特定の日だけの売り上げもあるが、メインは月単位の契約。汎用的な販売管理ソフトでは月単位契約がうまくはまらない」と専用の新聞販売店向けシステムを開発する意義を説明された。
しかも、新聞販売店の場合、最も大切なのは顧客をきちんと管理することで、顧客と販売状況をきちんと管理する必要があるという。
また、素材産業の取材をした際には、通常は目にしない単位が日常的に使われている業種があることにも気付かされた。
仕入れ・在庫管理も同様で、あまりにも企業固有の事情が大きいため、「パッケージソフトの導入は難しい」とされてきたのだ。
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