あなたは、自分の会社がどんな「財務会計システム」を使っているかご存知だろうか。また、会社の売り上げに直結する「販売状況」や「在庫管理」をするためには、どんなシステムやソフトウェアが使われているのだろうか。
企業のIT担当者や経営者でなければ、相当のベテラン社員であっても自分の会社がどんな「業務システム」を使っているのか、正確に分からない場合が多いかもしれない。
この連載では、普段はあんまり目の触れることのない会社の業務で利用するシステムについてご紹介する。第1回目は、業務システムの中でも、最も利用者が限られている財務会計システムをとりあげる。
なぜ自社の財務会計システムを知らないのか?
企業が利用するシステムについて「フロントオフィス/バックオフィス」と呼称することがある。ASCII.jpのデジタル用語辞典で調べると、以下のような説明がある。
フロントオフィスとは企業の中で、顧客に直接対応する外部との接点となる部門のことをいう。具体的には営業、コールセンターなどの顧客サービスが含まれる。一方、バックオフィスとは、企業の中で事務処理的な業務を行なう部門を指し、人事、会計、購買管理、生産管理などが含まれる。
両部門ともに、近年はIT化が進み、フロントオフィスはより効果的な顧客対応を、バックオフィスはより効率的、正確な業務処理が求められている。
そのため、よりよいシステムの構築(システムソリューション)に各企業が積極的に取り組んでいる。
どちらも会社の業務で利用するシステムではあるが、以下のような違いがあると考えられる。
- フロントオフィスは、(顧客など他社を含む)比較的多数の人が利用する、企業の業務処理を行うためのシステム
- バックオフィスは、社内の限られたスタッフのみが利用する(機密情報も含んだ)業務処理を行うためのシステム
バックオフィスの中でも、出金と入金を管理する財務会計システムは特に限られた人だけが使うシステムだ。理由は明確で、会社にどれくらいの収入があり、どれくらいの支出があったのかを管理するための作業は、社内の特定のスタッフ限定で進めた方がよい。
以前ある中小企業を取材した際、社内情報システムの面倒を見ている総務担当者が、「うーん、うちの会社、経理システムについては、僕もノータッチなんです」と苦笑した。
その会社の場合、経理システムを利用しているのは社内でもベテランの女性社員だ。「今、使っているシステムが使いやすい」という理由で、なかなか新しいシステムに切り替えるのが難しいとのことであった。
もちろんこれは極端なケースだが、フロントオフィスには先進的なシステムを導入している企業でも、「会計をはじめとした基幹システムは別」と話すケースも存在する。
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