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意外に知らない「業務システムの裏側」 第1回

あなたが「自社の財務会計システム」を知らない意味

2009年09月28日 09時00分更新

文● 三浦優子

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中小企業のIT化は、税理士や会計士の仕事を奪うのか?

 中小企業の中には、「自分のところで会計処理はせず、税理士や会計士にお任せ」というところもあるかもしれない。筆者周辺のフリーライターやデザイナーの中には、「全ての伝票を税理士に渡して、確定申告もお願いしている」人が少なくない。

 15年以上前は、税理士/会計士の仕事は、伝票の入力から全てを請け負うことが当たり前だった。企業が財務会計システムを導入して自分で入力し始めることを嫌う税理士/会計士は多く、「会計システムは敵!」と明言する人までいた。

 ところが最近では、かなり安い金額で伝票入力を請け負う業者も出てきていている。「伝票入力まで含めて行うことこそが仕事」という税理士/会計士は新しい仕事がなかなか増えにくくなっているようだ。

 本来、財務会計システムの役割とは、企業の収入、支出を正確に捉えることにある。いわば、企業の健康状態を把握するための数値を迅速に、正確に算出するための道具が財務会計システムだ。

 そのため最近では、財務会計システムを敵視するのではなく、本来の業務である税務アドバイスや会計監査といった財務会計まわりのコンサルティング業務に注力する税理士/会計士が増えていると聞く。

 会計コンサルティング業務を行う税理士/会計士にとっては、財務会計システムとは敵ではなく、むしろコンサルを行うための重要な要素と捉え、導入を勧めているケースもある。


財務会計システムは、どんな理由で選ばれるのか?

 実は20年以上前から、財務会計システムの利用を勧める税理士/会計士も存在していた。企業によっては財務会計システム導入のきっかけが、「税理士/会計士のアドバイス」という企業も案外多いのではないか。

 そこで税理士や会計士を組織化し、パソコンやソフトを販売するチャネルとして活用しようとする動きも何度となく起こっている。

 また、税理士/会計士向けのシステムを作っているメーカーが、税理士事務所/会計事務所が抱える顧客向けのソフトを作るケースや、逆に顧客が使う財務会計システムを作っているメーカーが税理士事務所、会計事務所向けソフトを作るケースもある。

 先ほど紹介した、社内のIT担当者が財務会計システムにはノータッチとなっている要因の一つが、税理士/会計士と同じ財務会計システムを使うためだ。

 財務会計システム市場にとって、いまや税理士事務所/会計事務所は欠かせない存在となっている。

表 主な財務会計システム
ターゲット 製品名
個人事業主 弥生「やよいの青色申告」、ソリマチ「みんなの青色申告」、BSLシステム研究所「青色申告らくだ」、マグレックス「Macの青色申告」など
小規模企業 弥生「弥生会計」、ソリマチ「会計王」、ピクシス「わくわく財務会計」など
中堅企業 オービックビジネスコンサルタント「勘定奉行/奉行ERP」、PCA「PCA会計/DREAM21」、エス・エス・ジェイ「SuperStream CORE」など
大企業 ワークスアプリケーションズ「COMPANY」、SAPジャパン「SAP ERP Financials」、日本オラクル「Oracle E-Business Suite Financials」など
会計事務所 提供メーカー:ミロク情報システム、TKC、セイコーエプソン、JDLシステム研究所など

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