最大の進化は「画質」!
「高画質マスターエンジン」の威力
本機の液晶パネルは、優れた低消費電力を実現した「AE6」と同等のパネル。そのはずなのだが、その画質はまるで別物かと思うくらいに違う。例えば、女性の黒髪の表現。従来はコントラスト不足による黒浮きのため、全体にグレーっぽい色になってしまい、しっとりとした黒の艶が不足していた。
しかし「DS6」では、黒がしっかりと沈みながらも、艶やかな輝きを再現。恥ずかしながら、「この艶が再現できるということは、ついにシャープも光沢パネルを採用したか!」と勘違いしてしまったほどだ。
色再現はモニター的な忠実志向で、派手さはないものの、コントラスト感の向上のせいか、原色の華やかさや肌の色の自然さがより鮮明になっていると感じる。それにしても同じパネルを使っているとは思えない変わり様だが、それを実現したのが新開発の「高画質マスターエンジン」だ。これは、倍速表示機能「高画質Wクリア倍速」や映像に応じて画質を最適に調整する「高画質アクティブコンディショナー」などの新機能を備えた映像処理回路である。
高画質Wクリア倍速では、新たに撮影時のカメラのパン(水平方向にカメラの向きを回転させて被写体を追うこと)による動きボケを除去する機能を搭載した。元の映像のぼやけをなくした上で、映像補間による倍速表示をすることで、よりくっきりとした映像を再現する。従来の倍速表示に比べて、カメラのパンなどの映像はかなり鮮明になり、いわゆる残像感や動画ぼけを感じさせないくっきりとした映像になった。
動画補間は効果を強めると、補間エラーが出てしまうこともあるため、効果は「アドバンス(強)/アドバンス(標準)/スタンダード/しない」の4段階から選べる。それぞれの効果を比べてみると、効果を強めるほうが残像感はぐっと少なくなるが、動画撮影でシャッタースピードを高速にしたようなシャッキリした感じになり、スポーツ番組などとの相性はいいが、ドラマなどで不自然に感じることもあった。このあたりは好みもあるが、番組のジャンルに合わせて選ぶといいだろう。
実は自動画質調整機能も搭載!?
もうひとつの高画質アクティブコンディショナーは、映像の状態に合わせてコントラストや色を調整し、ノイズ除去などを行なう機能。実はこの機能、表示している映像の分析だけでなく、番組表のジャンルデータを参考に、映像がドラマかスポーツかなども判断して映像の最適化を行なっている。
つまり、このアクティブ設定を「入」にし、明るさセンサーも「入」とすれば、部屋の明るさや番組のジャンルによって自動的に最適な画質に調整されるというわけだ。これは最近話題となっている(東芝 REGZAの「おまかせドンピシャ高画質」などの)「自動画質調整機能」と呼んでもいいのではないかと思うのだが、シャープによれば「現状ではそう呼ぶには不十分。後追いになる機能ですし、他社にはない特徴を盛り込んでから自動画質調整と呼びたいです」とのこと。シャープの真面目さがうかがえるが、「他社にはない自動画質調整」に取り組んでいるとの情報は今後のモデルへの期待が高まる。
この高画質アクティブコンディショナーについては、いくつかの映像を使ってその効果を試してみた。いずれも映像がくっきりと鮮明になり、細部までよく見えるようになる。
特筆したいのは、暗部が浮き上がらずしっかりと沈んでいること。このため、コントラスト感が大幅に向上した印象になる。特に、夜間撮影した浅草寺の夜空の締まった黒と手前に見える提灯のコントラスト感、暗く沈み気味な寺社の赤が鮮やかになっているなど、映像の見通しの良さが向上していることがわかる。これは常時「入」のまま使えると思う。