「なぜ、ビジネスデータ分析が必要か」
長引く不況の中で、実務現場で緻密でかつ戦略的なビジネス活動が求められています。その中のひとつとして、多量な実務データを分析して問題点や課題を発見し、その原因や要因を求め、より具体的な対策を立てる「ビジネスデータ分析」があります。
ビジネスデータ分析とは、実務現場のひとりひとりが行なう数千数万件の多量な実務データを用いた分析のことです。誰もがすぐに始められ、すぐに役立つビジネスデータ分析。しかし、その進め方や実践手法、利用ツールは意外と知られていません。
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本連載はExcel解説書「Excelでマスターする『ビジネスデータ分析』実践の極意」から一部を抜粋・再編集したものです。Excelは単に表計算やグラフを作るだけのツールではありません。Excelに用意された豊富なデータ分析ツールを使いこなすことで、いままで見過ごしてきたビジネスチャンスやつまづきの芽を、ガッチリ見つけましょう。
データの並べ替えが分析のスタート
データ分析を行なうには、まずデータの並べ替えから始めます。バラバラの羅列のデータでは問題点を見つけることができません。並べ替えを行なってこそ問題点や異常値が浮かび上がってきます。
並べ替えることが「データ」を「情報」に変える
ピボットテーブルで作成した表は、行欄と列欄の文字の順番に自動的に並びます。これは、数字、カタカナ、漢字の順番で基本的にアイウエオ順(文字のJISコード順)になります。そのため、このままグラフを作成するとバラバラの並びになり、単なる事実の羅列でしかなく、なんの判断もできません。
そこで、必ずどこかの項目で降順、昇順に並べ替えます。すると当然ながら、グラフも一定の順位グラフになり、このグラフを見ることで、全体の構成や順位の動向が判断できる「情報」となります。
解説――並べ替え前と後のグラフ
文字の順番に並んだ表から作成したグラフは、バラバラで判断できません。上図のように、数字の降順に並び替えると順位グラフとなり、全体の売上構成やランクが判断できます。
並べ替える位置による分析視点の違い
しかし、ただ単に適当な項目で並べ替えればいいというわけではありません。どの項目で並べ替えるかということが重要で、それが分析の視点になります。ここでは、落ち込み分析と成長分析の並べ方の違いを説明します。
落ち込み分析
落ち込み分析を行なうには、古い期日のデータ項目で降順に並べ替えます。過去のベストテンを作成し、それが現在どのようになっているかで落ち込みの動向をつかみます。
解説――落ち込み分析の並べ替えと分析方法
この例では、最も古い期日である4月の売上金額を降順に並べ替えます。「スーパー藤」が4月には2位なのに落ち込んでいるのが分かります。
成長分析
急成長しているものを探す成長分析では、最新の期日のデータ項目で降順に並べ替えます。最新のベストテンを作成し、成長しているものを発見します。
解説――成長分析の並べ替えと分析方法
この例では、最新の期日である9月の売上金額を降順に並べ替えます。「スーパー皆川」が成長していることがわかります。
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