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歴史を変えたこの1台 第7回

ワイヤレス化にいち早く目を付けたバッファローの戦略

無線LAN時代を切り開いたメルコ「AirStation」

2009年08月11日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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高速化、セキュリティ、ゲーム機対応
多様化する無線LAN

AirStationの筐体バリエーション その1。茶筒型筐体を採用した「WHR2-G54V」は2002年頃に登場した

 無線LAN普及のセカンドステージともいえるのが、IEEE802.11gが登場した2003年であろう。無線LANのメリットは、多くのインターネットユーザーにアピールしたが、ブロードバンド化によりコンテンツが肥大化したことで高速化が求められていた。そこで登場したのが、既存の2.4GHz帯を使いつつ、OFDMと呼ばれる周波数変調技術を用いて54Mbpsという速度を可能にしたIEEE802.11gだ。ここでも社名をバッファローに変更したメルコは、企画策定前の2002年にいち早くIEEE02.11g対応を発表し、2003年から一気に製品の拡充を図った。また、難解なセキュリティ設定を簡素化する「AOSS(AirStation One-touch Secure System)」の取り組みを始めたのもこの頃だ。

 後藤氏は「とにかく1番最初というのが好きな会社なので、11gも仕様策定前にいち早く対応しました。先行者利益が高いことも知っていましたし、既存の11bと互換性があるので、多くのユーザーが違和感なく使ってくれると思っていましたから」と話している。2003年には、インテルが無線LANチップをノートPCに内蔵する「セントリーノ」戦略を進めたことで、無線LANの普及はさらに加速した。

AirStationの筐体バリエーション その2。マンボウ型筐体の「WHR-AMPG」は2005年以降に採用されたもの

 その後、2003年以降の無線LANの一般化への流れは、ご存じの通りだ。まずゲーム機にひと通り無線LANが搭載されたことで、いったん縮小傾向にあった市場が2005年以降、さらに拡大した。最近ではモジュールの小型化や低消費電力化で、デジタルカメラや携帯電話機にも無線LANが付いており、PC以外のフィールドに通信機能を拡げている。これは有線では実現し得なかったことだ

 こうした中、バッファロー製品の主力は、ゲーム機専用のアクセスポイントや100Mbpsを超える11n対応製品に移っている。2009年8月現在もIEEE 802.11n規格の正式策定はまだだが、「すでに店頭で売れているうち7割は11n対応製品」(後藤氏)ということで、高速伝送の需要は高い。11nの目標である安定した動画のワイヤレス伝送に向かって、バッファローは今後も技術や製品の開発を進めていくとのことだ。

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