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記者をお客さんだと思って取材を受けるとうまくいく

2007年08月29日 09時00分更新

文●朝日奈 ゆか/株式会社ユンブル 代表取締役

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取材してもらった雑誌には読者プレゼントを出すなど、何かを提供しよう

 今回は、前々回の第27回のコラムの続きです。第27回では、取材当日に記者に興味を持ってもらうには、あなたの会社の企業秘密といえる情報をオープンにすることだと述べました。

 が、もしも、そのような情報がない場合は、読者へのプレゼントを用意するなど、何らかの「読者への特典」を提案してください。雑誌によくある、「本誌を見たといえば○%引き!」など、です。すると記者は、あなたのサービス精神をかってくれるはずです。
 もちろん、新聞の社会面の記事には不要ですが、イベント面や雑誌の記事なら、特典をつけると目立つスペースに掲載してもらえたり、スペースが他の記事より大きくなる場合があります。
 そして、あなたの商材に対する熱意もきちんと見せておきたいところです。あなたが商材を愛し、広めることに対して一所懸命であれば、その心は記者にはすぐに伝わります。

取材の時に記者が困る三大要素は「自慢話」「話が長い」「要点がそれる」

 次に、第27回の最後に書いた、「取材当日に記者が困る三大要素」についてお伝えしましょう。
 第1に、オーナーの自慢話です。商品のアピールを熱く語るのと、自慢話をするのとは違います。あくまで謙虚に話したいものです。自慢が続くと、記者の目に映る商品の価値が実際より低く見えてしまうこともあります。
 第2に、話が長いこと。何より、前説が長い、あいさつがくどい、ひとりで話し続ける、というs人はけっこういます。どんなときも、「話は簡潔に」と心がけてください。
 第3に、話をしているうちに、要点がどんどんそれて戻ってこなくなることです。このパターンの人はじつに多いのですよ。自分にとって重要だと思う話でも、記者にとってはどうでしょうか。記者は友だちではないのだから、その話はじつはあなたが「言いたいだけ」であって、記者にはなんの興味もないことかもしれません。

 ほかに、ニュースリリースに書いてあることを繰り返すだけ、という場合も記者にとっては困ってしまうことです。これについての詳細は、第27回で述べています。

取材中に自分の主張はNG! 記者の質問に返答するという姿勢でのぞむ

 これらのことは、せっかくあなたのショップを選んで訪問してくれた記者の取材を、あなた自身が阻止しているようなものです。
 取材を受ける姿勢とは、「記者の質問に返答すること」です。取材とは、あなたが主張する場ではないことを肝に命じましょう。
「記者は鋭くツッコミする強そうな人ばかり」というイメージがあるようですが、大きな間違いです。若い人も多く、だいたいは繊細に気を配り、取材時間をとってもらって仕事の邪魔をしていないか、自分の質問は当を得ているだろうか、と彼らも内心、不安を持ちながら緊張して話を聞いているのです。
 まずはお互いにリラックスできる環境であることが第一。それには、あなたの方から緊張を和らげる笑顔とウエルカムな心で記者を出迎え、取材は彼らの進行にゆだねる対応で望んでください。

 記者は、一般客の視点で質問をしてきます。したがって、記者が知りたがっている情報欲を満たすように、記者が納得する情報を提供する心もちでいればいい返答ができます。 
 そう、つまりいい返答をするには、記者をお客さんだと思うことです。いつもあなたは、あなたの商品に興味を持って何かを知りたがっているお客さんには、自慢話ではなく前説もカットして、ていねいに説明をしますよね。その時のように話すのが、取材対応の最善の方法なのです。
 そして、相手は“お客さま”なのですから、次の心がまえが最重要です。
 お客さま(記者)はあなたの業界で仕事をしているわけではないので、あなたが扱う分野に関してはまったくの素人です。業界用語、業界の常識、業界の慣例など何も知りません。
「記者とは何でも知っている人。うちの業界のことも裏の世界までよく知っているのだろう」と思い込まないでください。まちがっても、業界用語を駆使して早口で説明してしまうことなどはないようにしましょう。

 取材時の対応には、事前にスタッフらに記者役をしてもらい(できるだけ鋭いツッコミができる人に頼む)、練習を繰り返しておくといいでしょう。その際、マイナスの点もしっかり指摘してもらって善処してください!

著者プロフィール

名前 朝日奈 ゆか info_email_01[アットマーク]yumble.com
※著者に直接問い合わせをする際は、お名前、会社名、サイトURLなどを明記してください。
会社 株式会社ユンブル
サイト http://www.yumble.com/

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