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アスキービジネスの編集長に聞く、いいリリースとは?!雑誌に掲載される近道とは?!

2007年09月26日 09時00分更新

朝日奈 ゆか/株式会社ユンブル 代表取締役

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 みなさん、こんにちは。1年以上にわたり連載してきたこのコラムは、今回で最終回です。そこで、当サイト『アスキーEC応援隊』や雑誌『インターネットでお店やろうよ』の編集長である木下修さんに、本連載を振り返りつつ、お話をうかがいました。

編集者歴20余年の木下修編集長
男性総合月刊誌、PC系雑誌を経て現在、
アスキービジネス編集長、『インターネットでお店やろうよ』編集長

文字を並べただけのリリースは捨てる。心で書かれたものが見たい!

朝日奈 アスキーの各編集部には毎日、プレスリリースが届きますよね。そのなかで、木下さんが「あ、これは記事にしたいな」と思うのはどんなリリースですか?

木下 編集者とは、大企業の商品情報よりも、名前も知らない店の良質な情報を見つけたいものなんです。たとえば、情報を探す時に、メインストリートにある大きな店に入るより、路地を入ったところにこっそりある店を見つけた時の方がうれしい。情報も同様に考えて探します。これ、編集者のサガですよね。
 ネットショップに限らず、大企業のプレスリリースにある情報は、編集者のサガをつつきづらい。だって、ウチだけじゃなく他の媒体でも発表されそうなんですもん。

朝日奈 つまり、大企業系のプレスリリースは面白くない、ということですよね。小さなネットショップから来る手作りのリリースのほうが良質だ、と。そこ、かなり重要ポイントですね。具体的にはどういう違いがあると感じますか?

木下 PCメーカーやIT系大手企業から届くリリースはパターンが出来上がってて、こちらもついおざなりな見方しかしなくなってしまうんですよ。それにくらべて小さなショップ系の自分で工夫した“掲載を依頼するタイプ”のリリースなら、商品情報と広報がリンクしてさえいれば、目を引くし、興味深く読めます。

朝日奈 血が通ったリリース、心のこもったリリースが編集者や記者の目にとまる、ということですね。形式が整っていなくても手書きでも、印象に残ったリリースはたいてい、商品もいいですしね。

木下 そうなんです。リリースの書式は洗練されていなくて、ウェブサイトの作りもショボイ。でも、扱っている商品や商売に対するスタンスがしっかりしているショップに出会うと、僕たちは「やったー。待ってたー」と思います。

雑誌が発売されるまでのスケジュールを把握することは、広報の大切な仕事

朝日奈 やったーと思うリリースに出合った場合はまず、何をチェックしますか?

木下 そのお店や商品情報がうちの雑誌の企画と合うかどうかが前提ですが、まずはリリースとウェブサイトを見て、身元確認のような情報の信ぴょう性、ウラをとります。きちんと商売をしているかどうか、実店舗があるかないか、などです。ただしこれは目安の一つにすぎません。さらにスケジュールが一致するかなどを具体的に検証します。

朝日奈 情報の土台がしっかりしているだけでなく、編集部の都合というか段取りにうまく合う必要があるわけですね。逆に言えば、そうなれば掲載は実現しますか。

木下 朝日奈さんのコラムにもあったように、まず電話をしてみて話をしたり、実店舗があるならお客さんの顔をしてお店をチェックしに行ったりしますよ。ショップのテーマがしっかりしていいて、それを語れる人がいることも大事です。
 逆に、リリースは立派なのに、取材に行ってみれば店のコンセプトも明確に語れない、商品情報を説明しきれない、ありきたりのことばでしか語れない、なんとなくはじめたんじゃないの、というショップもあります。正直、あまりいい情報でないのに掲載してしまったりして、あ、広報さんにうまくノセられた、と思うこともなきにしもあらずですが(苦笑)。

朝日奈 お客さんの立場に立って物ごとを進めているショップはパブリシティはもちろん、商売も成功していますね。編集部の企画の意向や、スケジュールを察知してくださるショップも多い。

木下 そう、そう。スケジュールは案外、というか、特に、必要なんですよ。でも、ネット時代に入って、スケジュールの感覚がずれてしまった。まともではないですよ。今日、メールでリリースを送れば明日には掲載される、と思っている人がいますが、見当ちがいです。

朝日奈 第12回で書きましたが、雑誌の場合、月刊誌なら発売日から3ヶ月以上前から依頼しておかないとまず掲載されません。直前に持ち込まれても絶対に載りませんね。

木下 そうです。スケジュールを把握しておかないとムダ撃ちばかりになってきますよ。雑誌に載せたいなら、雑誌の土俵に乗って動きましょう。アプローチしたい業界の時間感覚=土俵ですよ。

朝日奈 時間感覚の勘違い禁止、ですね。

専門誌の広告料は安い!広告について検討しつつ編集部と付き合う

朝日奈 マスコミとの上手な付き合い方について、どう考えておられますか。

木下 出版社は広告も収益の柱ですから、やっぱり広告を出すことを前提に、という持ち込みかたなら話を聞いてくれるでしょう。広告を出すことをきっかけに、編集部と信頼関係を維持している会社も多いです。
 一般誌や新聞の全国紙では莫大なお金がかかりますが、専門誌になると、驚くほど安いですよ。先日見たサッカーの専門誌なら、3分の1枠15万円、1ページでも50万とか。年に何回か出して、それはPR費として、交際費だと考えてつきあう。

朝日奈 広告=高い=手が出ない、というイメージが強いようですが、取材に行って、「お金がないから広告より記事で出してほしい」などと言われると、「利用するつもりかな」と、がっくりきます。言わなくてもいいことですね。記者にケチな考えを見せると応援してもらえないし、せっかくの取材も次につながりません。

木下 「パブリシティとは、無料で記事にしてくれるものだから」と考えるのではなく、「読者の信頼を得ることができる記事への情報提供だと考える。そして、そのうえで身の丈に合った広告を検討する」という二段構えの姿勢があってこそ、パブリシティは成功しやすい。

朝日奈
 専門雑誌のほか、ミニFM局(第16回参照)や地方新聞など(第17回第18回第19回参照)も広告費用はかなり安いです。実店舗がある場合、地域のマスコミとの関係を築いて、ネットにそれを掲載すると、全国からの注目度も高まります。
 実際に広告費はいろいろなメディアのHPで見ることができるので、調べて一覧表にするなどの作業をすると、具体的なPR戦略が見えてきますね。

一発屋で終わらないためにも、雑誌の特性を研究してから記者に売り込むべし

木下 雑誌に1回だけ載って終わったショップは山のようにあります。一発屋で終わるのではなく、編集部と付き合って関係を築くという姿勢で情報を持ち込んでほしいですねえ。

朝日奈 そうすると、その編集部やラジオ局のスケジュールの仕組みや、今、メディアが何を求めているかなど、企画も把握できますからね。1年を通して言い続けましたが、マスコミの敷居は高くないのです!

木下 それに、雑誌など媒体のことを知ってくれていると編集者や記者はすごくうれしいんですよ。どんな読者層をターゲットにして、何日発売で、いくらで、巻頭の特集はこんな感じで、連載はこういう企画で……などをわかったうえで情報を持ち込んでくれると、雑誌の企画内容にからめやすいし、誌面になってもしっくり行くケースが多いですね。

朝日奈 ネットショップの勉強会などでは、木下さんに商材のサンプルを持ってくるオーナーたちが多いようですね。売り込むにあたっていい方法はありますか?

木下 商品のコピー、タイトルなどに気を配ってほしいですねぇ。PRの命綱です。メールで送る場合は特に、件名だけで判断することがあります。それから、「過去にこういう雑誌にも掲載されました」という掲載実績が載っている場合も、見ますね。

朝日奈 プレスリリースもメールでの売り込みも、自分よがりではない、人の意識をひきつけるタイトルをつけなくては意味がない、本来の役割を果たさない、ということですね。 
 ここで、いいお話の流れなのでお伝えしますが、10月からの私の新連載コラムは、「売れるサイトのコピー、文章のつくりかた」(仮)でございます。ぜひ、読んでください(笑)。
 木下さん、今日はありがとうございました。そして、読者の皆さまの広報術の向上をこれからも応援してまいります。ご愛読ありがとうございました。 

木下 こちらこそ、どうもありがとうございました。皆さんのPR、商売が成功することを祈っています!

著者プロフィール

名前 朝日奈 ゆか info_email_01[アットマーク]yumble.com
※著者に直接問い合わせをする際は、お名前、会社名、サイトURLなどを明記してください。
会社 株式会社ユンブル
サイト http://www.yumble.com/

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