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広告費用をかけずにPRする「パブリシティ」という方法

2007年04月25日 09時00分更新

文●朝日奈 ゆか/株式会社ユンブル 代表取締役

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信用を失う広告に変わって、パブリシティの成功が信頼を獲得する

 みなさんは、「パブリシティ(publicity)」ということばを知っていますか?自社商品をマスコミに売り込むにあたり、ぜひ知っておいてほしい広告業界用語のひとつです。大企業の広報マンたちの仕事の第一はパブリシティを成功させることにあり、その成功しだいで出世が決まるといわれるぐらい、企業にとって重要な活動です。
 これまで、媒体別にマスコミに自社ニュースを売り込む方法を具体的に述べてきましたが、この方法こそを、「パブリシティ活動」といいます。

 パブリシティとは本来、英語の意味として「広く知ってもらうこと」ですが、広告用語としては、「企業や団体が自社のニュースをマスコミに売り込んで、メディアで報道されること」という意味です。ニュースの発信者であるみなさんからすると、「うちの商品を記事として掲載してもらうこと」という活動を指します。業界人は略して「パブ」と呼んでいます。

 現代の私たちの生活のほとんどは、企業が発する広告に影響されながら成り立っていますが、その反動で、広告の量が増えれば増えるほど消費者は、「できるだけ広告を避けたい」という意識を強く持っています。
 ああ、うるさい。もう見たくない。辟易する―これが広告の海で暮らすわたしたちの、広告への無意識の本音でもあります。さらに、これだけ企業の不祥事が連日報道されれば、「企業の広告など信用できない」と思うのが普通の感覚でしょう。

 そこで一般消費者は「プロが選んだ新聞や雑誌の記事」のなかから、良質な情報を選択しようとします。つまりマスコミで自社商品が紹介されれば、「あなたの会社の商品、情報は優良だ」と認められたように映ります。
 広告には信頼性(クレディビリティ)が欠如し、パブリシティだけに信頼が宿る。この考え方に即して企業は広報部をつくり、優秀な人材を投入してパブリシティを成功させるために日夜奮闘しているのです。

パブリシティこそ、小さなショップのオーナーが勝負できる方法!

 パブリシティには、金銭は通用しません。記者は自らの選択眼と良心にもとづき、キャッチした情報のなかから、読者にとって有益で良質なニュースを選んで記事にします。金銭のやり取りがないから信用されるニュースが成立するわけですが、だからこそ、中小や自営の企業、ショップでも大企業にならんでニュースを売り込むことができる方法でもあるわけです。

 小さなショップが生み出すアイデアが、パブリシティで生きて輝く機会は多いのです。パブリシティこそ、資金がない小さなショップのオーナーが大企業に太刀打ちできる活動なのです!

パブリシティのメリットをまとめておきましょう。

  1. 記事になったことで、その商品や情報が信頼される
  2. 1の結果、ニュースの発信元である会社やショップが社会的に信頼される
  3. 広告とちがって、PRそのものに支払うコストがかからない
  4. 営業活動がスムーズになる
  5. スタッフの士気があがり、社内活動が活発になる
  6. マスコミに人脈ができる
  7. マスコミや一般消費者の反応に導かれ、新商品の展開の道が広がる
  8. …以降はあなたがそのメリットを体感して書き足してください

 世界一、パブリシティに成功しているといわれる企業はどこでしょうか? はい、そうです、ご存知、マイクロソフト社です。あらゆる媒体で、この会社の名前が出ない日を数えるほうが大変だそうです。
 芸能人が、自ら主演の映画が封切される直前や本を出版するときに限って、スキャンダルが流れるという現象がありますが、これは映画や本の宣伝のために、芸能人サイドがマスコミにニュースを流して取材陣を集めるというパブリシティの典型です。

 同義のことばとして「PR」があります。「public relations」の略なので、欧米では広告以外の宣伝活動をPRと定義しています。が、日本ではなぜか、大金をはたいて宣伝する広告活動そのものをPRと呼ぶ場合が多いので、「業界では金銭授受がない活動をパブリシティと表現している」と理解してください。

 このコラムのタイトルは、「ネットショップ、自社商品をマスコミにとり上げてもらう方法!」ですが、イコール、「パブリシティを成功させる方法!」を意味しています。パブリシティの成功は、プレスリリースを持って、自らマスコミに売り込みに行くことからはじまるのです! 

著者プロフィール

名前 朝日奈 ゆか info_email_01[アットマーク]yumble.com
※著者に直接問い合わせをする際は、お名前、会社名、サイトURLなどを明記してください。
会社 株式会社ユンブル
サイト http://www.yumble.com/

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