このページの本文へ

マスコミに持ち込む「プレスリリース」をつくろう(2)――伝えたい内容を書き出して準備する

2006年09月20日 09時00分更新

文●朝日奈 ゆか/株式会社ユンブル 代表取締役

  • この記事をはてなブックマークに追加
本文印刷

 みなさん、こんにちは。前回記した、プレスリリースの勉強は進みましたか?

 当社は店舗や企業の広報コンサルタントを行なっていますが、それ以前に、編集プロダクションとして雑誌とWeb媒体の制作に携わっています。書店で販売するメジャーな女性誌、タウン情報誌などの制作が多いため、毎日のようにいろいろな企業からニュースリリースやマスコミ発表会の招待状が届きます。つまり、プレスリリースを受け取るマスコミ側の立場でもあるわけです。

 届いたプレスリリースをどう扱うかというと、まずはスタッフ共有の「プレスリリース箱」に入れていき、誰でも回覧できるようにしています。そのうえで、各スタッフが興味のある情報をピックアップし、表紙に自分の名前を書き込んでから別の「プレスリリース保存箱」に移動させます。到着から10日経ってまだプレスリリース箱に残っている資料は、誰も興味を示さなかったものとして廃棄します。届いたプレスリリースのうち、保存箱のほうに移動するのは、5%ほどです。

 どこの雑誌社、新聞社でもプレスリリースの扱い方はこのようなパターンです。つまり、それほどマスコミに興味をもたれる資料は少ない、競争が激しいということです。

 記者たちは、次々と届くプレスリリースを細かく読んでいる余裕はありません。どうすれば記者の手のなかに残ることができるのでしょうか。受け取る側、選別する側の視点、立場でプレスリリースのつくりかたを解説しましょう。

プレスリリースとは何か、を繰り返しておきます。

  • 企業がマスコミ宛に、自社の伝えたい情報を整理して文書化した資料
  • マスコミに売り込みに行くための必す必要な資料

ではいざ、着手です。以下のような流れで下準備を行ないましょう。

1.売り込もうとしている商品やサービスのニュース性を書き出す

 記者が「この商品はニュース性が高い」と判断する基準は、商品の「オリジナリティの度合い」です。あなたの商品の「他製品にはない機能」「魅力」はどこにありますか。売り出したい文言があるはずです。まずは思いつく限り、たくさんのキーワードを書き出してみましょう。オリジナル度数が高いほど、マスコミは「読者の注目を集める=ニュース性が高い」と判断します。
 さらに、雑誌や新聞にとりあげられやすいポイントは、「新商品」「ニューオープン」という商品の新規性です。いつ、どんな形でデビューする商品なのでしょうか。

2.1であげた商品やサービスのオリジナリティの根拠を書き出し、資料を集める

 オリジナルの度合いが客観的に伝わるようなキーワード、データ、資料などを用意します。たとえば、「業界初の○○機能を搭載したパソコン」「日本一高いジェットコースター登場」などというように宣伝したい場合、「なにが業界初にあたるのか」「日本一の根拠は?証明できる資料はこれ」という証拠を添えます。

3.商品やサービスの説明をするための5W1Hを書き出す

 商品のプロフィールをわかりやすく説明するために、5W1Hを整理します。

  • Why →なぜ
  • What →何を
  • Who →だれが
  • Where→どこで
  • When→いつ
  • How →どのように

4.商品やサービスに関するプラスアルファの情報を書き出す

 商品の開発ストーリーやその他の商品など、記者が興味を示してくれそうな情報も大切です。 

5.業界の知識などを書き出す

 マスコミの人はあなたの業界に詳しくありません。業界のトレンド、一般情報を客観的な視点で資料として添えておくと、あなたの商品も理解されやすいことがあります。

6.会社や店舗情報を書き出す

 自社情報を正しく、おしみなく公開することは、マスコミと読者の信頼獲得につながります。ネットショップの場合、資料に住所が記されていない場合が多々ありますが、記事に公開するかどうかは取材が成立してからの話であり、マスコミにまず、「素性を知ってもらう」ことがプレスリリースの根本の考え方です。

7.マスコミからの問い合わせ先、記事になった場合の問い合わせ先を書き出す

 大企業になるとこの2つの問合せ先は違うので、「読者からの問い合わせ先はこちら」という項目を加えます。マスコミから問い合わせをいただく場合の部署、担当者名、電話番号、FAX番号、メールアドレス、ホームページURLと、読者からの問い合わせ先に明記してほしい同項目を整理します。

 以上の項目を全部書き出せば、これを整理整頓、簡潔にして書面化に進みます。この過程で、商品の良し悪しや次の商品へのヒントが浮かぶこともよくあります。あなたの商品やサービスを宣伝するポイントを熟考してください。

 ちなみに、万が一、商品のニュース性が思い浮かばない場合は、無理にプレスリリースをつくってもマスコミに取り上げられることはないでしょう。「本当にこの商品は売れるのだろうか」と考え直すべきです。

著者プロフィール

名前 朝日奈 ゆか info_email_01[アットマーク]yumble.com
※著者に直接問い合わせをする際は、お名前、会社名、サイトURLなどを明記してください。
会社 株式会社ユンブル
サイト http://www.yumble.com/

この連載の記事

一覧へ

WebProfessional 新着記事