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株式会社山岸竹材店 代表取締役 山岸義浩氏 (後編)

2008年02月29日 09時00分更新

文●とこ みゆき/サポタント株式会社

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スタッフとのコミュニケーションの深め方

 では採用して実際に入社されたスタッフとのコミュニケーションをよくするために留意されていることはありますか?

山岸氏(以下敬称略) 2006年春から全社会議を月一度定時後に集まって開催するようになりました。竹製品をつくる職人も、受注担当もWeb制作担当も発送担当もみんな集まって話をするのです。月一度関係者が集まって会議するというのは、普通の会社ではめずらしくないことかもしれませんが、定時後の8時や9時まで会議で全員が会社に残るということは私の会社では大変なことでした。

 竹虎の職人たちは昔から朝早く来て、定時になったら帰るというリズムで長年働いてきた人です。定時後に数時間残って会議するような文化はまったくない人です。
 また発送などを担当しているスタッフも、早く帰宅して家事などをしなくてはいけない人が多いのです。たとえ月一度でも、会社に残って残業するという経験をしたことがない人達がほとんどでした。

 ただ、昼間はそれぞれの業務がもちろんありますし、分室と本社が少し離れているので、定時後にしかみんなで本社に集合できないのです。
 ですから月一度だけ定時後に会議をしたいとみんなに伝えて最初は抵抗にあいながらも、なんとか実現することができ、今では定例化できるようになりました。

 効果はいかがですか?

山岸 本社とWeb制作の分室は、通常は離れているのですが、こうした会議の場をもつことで顔を見ながら話でき、日々のコミュニケーションが非常によくなりました
 また今まで実店舗での発送や接客しかしたことがないスタッフからもネット業務に関して改善の提案などをしてもらえるようになりました。

 そのほか、コミュニケーションで意識していることはありますか?

山岸 月に一度、各スタッフと2人きりで話す時間をつくりました。これは主に給与支給日に実施しています。

 全員とお話をするとなると相当な時間を使われるのではないですか?

山岸 毎月給料日はみんなとの面談が終日の仕事です(笑)。
 それでも2人っきりでじっくりと話をしていると仕事中には聞けなかった本音や、プライベートでの心配事などまで知ることができます。仕事に対しての意見なども出ますしこれも大変ですが、続けていこうと思います。あとはたまにスタッフを外の食事に連れ出すのもいろんな話ができていいですよ!

 なるほど、いろいろと工夫をされているのですね。それでは「スタッフを育てる」という点ではどんなことをされていますか?

山岸 毎月、課題図書を出して、レポートを書いてもらっています。ネット販売担当のスタッフだけでなくて職人も含めて全員に書いてもらっています。

 抵抗はなかったですか?

山岸 最初はありましたけど、最近ではみんな結構楽しんでやってくれているようです。いいレポートが職人からあがってくるんですよ♪

 どんな本を選んでいるのですか?

山岸 はじめのうちは、私が参加している勉強会のML(=メーリングリスト)で紹介されている販促に関する本などを選んでいたのですが、最近は、竹に関する本を選んでいます。みんなにやっぱり竹のプロになってもらいたいですからね。

 売上数字とかリピート率とかページビューなどの数値は皆さんで共有していますか? 

山岸 これについては目につきやすい壁に貼付して毎日みんなで確認をしています!

 研修などは開催されていますか?

山岸 社内で、というよりも、最近は外部でいろいろな種類、レベルの研修会が充実しているので、そこに参加してもらっています。
 最近「よかったなぁ」と思ったのは、私などの経営者や責任者が参加せず、各ネットショップさんの担当者ばかりが集まり勉強する研修会に参加してもらったことです。同じスタッフの立場で、バリバリやっている人たちの中で勉強し、沢山いい刺激をいただいて帰ってきてくれました。こうした研修会があれば、また参加してほしいと思っています。

 責任者の悩みの多くに、スタッフさんから自発的な意見が出にくいというお話がよくありますが、竹虎さんではいかがですか?

山岸 うちでも、まだまだとは思っていますが、「どうしたらいい?」のコミュニケーションだけは意見がでやすいように意識しています。
 なにかスタッフから質問などがあれば、「私がどうしたらいいと思う?」と反対に聞き返すのです。こういうコミュニケーションをとるようにしたら意見が出やすくなったのでこれも続けています。

 山岸さんがこれだけは一番だ!と自信をもっていえることはありますか?

山岸 いいと思ったこと、勉強したことはすぐにやる!サイトに活かす!ということです。噂におどらされて失敗したこともありましたが(笑)、竹虎はずっとそうして育ててきましたし、これからも周りの皆さんから聞いた大切な情報や教えを「即」実行していきたいと思っています。

 山岸さんの実行力は本当にスゴイですもんね。講座後、懇親会があっても帰ってからサイトを修正されること、いつも感心していました。
 さて、最後の質問です。山岸さん、今後の夢をひとつ教えてください。

山岸 ショールームのような実店舗をいつか京都につくりたいと思っています。京都は今の竹虎にとっては、まだまだ敷居が高いですが、やはりあこがれの場所なんです。
 私のモチベーションはやはり「竹」。竹が大好きです。だから京都のような竹との歴史が古い町に店を構え、一人でも多くの皆さんに竹を知ってもらいたいんです。

 いかがでしたでしょうか?
それでは、竹虎さんのチームワーク&人材育成のポイントです。

(1)採用時にはできる限り時間をとって業務内容や会社のことを話し
  (いいことも・悪いことも)、竹虎で働きたいという強い意思がある人を採用する

(2)部門にかかわらず、部門の垣根を超えたメンバーで
  ネットショップ運営について話せる機会を定期的につくる。

(3)採用後も各人とじっくり2人で話せる時間をつくり、
  コミュニケーションを深める。

著者プロフィール

名前 とこ みゆき happy[アットマーク]supotant.com
※著者に直接問い合わせをする際は、お名前、会社名、サイトURLなどを明記してください。
会社 サポタント株式会社
サイト http://www.supotant.com/

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