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株式会社ブルーク 代表取締役 青松敬介氏 (前編)

2007年10月19日 09時00分更新

文●とこ みゆき/サポタント株式会社

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 今回から会社の「チームワーク作り」を元に全国のWeb関連事業を営む会社社長にインタビューしていきます。

 今日は、ご活躍ぶりなどは非常に有名ながら、「大阪府東大阪市の布施からあまり出たくない…」と少々出不精のため、なかなかお目にかかれない株式会社ブルーク(http://www.bluek.co.jp他、楽天店、ヤフー店など)の青松さんを取材してきました。

 高級時計を販売(本店・楽天店・Yahoo!店)するインターネットショップを運営され、2003年にはすでに月商1億円を達成されていた会社ですので「あ、ブルークさん、知ってる、知ってる」という方も多いのではないでしょうか。

 会社を訪問すると、まず感心したのが、スタッフの皆さんが非常に気持ちのよい対応をしてくださったこと。予想外に道に迷った私が困って電話するとアルバイトの方が非常に丁寧にわかりやすく説明をしてくれました。
 そして事務所に到着すると、出会うスタッフさん、皆、笑顔で、席から立ってきちんと挨拶してくださるのです。こうしたスタッフ教育なども含め、どういうことを工夫されているのが色々とお話を聞いてみたいと思います。

スタッフ全員が“6ピタ”退社できるようになった理由

 お久しぶりです。スタッフの皆さん、非常に気持ちの良い対応をされますね。

青松氏(以下敬称略) うちは社会経験がほとんどないアルバイトスタッフが多いので教育は徹底的にしています。

 スタッフは今何人おられますか?  

青松 役員を除き社員6名、アルバイト10名でやっています。

 はじめて出会ったのが確か2004年頃ですから、売上は約2倍の年商20億円規模になっているのに人数は当時から増えていないですね。業務はまわっていますか?

青松 まわってますよ(笑)

 でも、確か2、3年前に講座でご一緒してたときは、売上は今より少なく、人数は今のレベルくらいでしたよね?

青松 そうなんです。実はスタッフの人数は増やさず、売上を伸ばしています。ただし、当社は売上よりも利益を重視していますので、利益レベルでいうと3倍以上は伸びていると思います。

 当時は、繁忙期にスタッフのモチベーションキープや普段の業務レベルを保つことが難しいと困っておられたように思うのですが、なにか変わったのですか?

青松 変わったというか、変えました。というのも、スタッフを前年度よりも2倍に増やした2005年3月度の決算で売上が20%しか伸びなかったんです。
 でもスタッフは夜遅くまで残業してくれていて、本当に一生懸命働いている。何かがおかしい、これではいけないと思い、自分達の業務を見直すことにしました。

 どのように見直したのですか?

青松 業務をできるかぎり数値化して管理しようと考えました。たとえば、検品の作業とか、メルマガを書くとか、商品を登録する、とかすべての業務に標準時間を設定して、その時間内でできるようにするというように決めたのです。
 業務を標準化する前は、メルマガを書くのに3日かかる人もいれば、3時間で書く人もいましたが、会社としては3時間以内で書くもの、と決めるのです。

 目標設定や項目出し、各標準時間を設定することは大変じゃないですか?

青松 大変でしたよ(苦笑)。各標準時間の設定も大変ですが、もっと大変なことがありました。それは、元来、人は新しいことを取り入れることも変化することも嫌いだ、ということです。最初はスタッフから相当の抵抗にあいました。今、責任者となった2トップの社員にも呼び出されて、「青松さん、そのやり方は間違ってます!」なんて面と向かって言われたこともありました。

 社員さんからですか…?キツイですねぇ…。それであきらめようと思わなかったのですか?

青松 いいえ。この改革によって、全員やめても仕方ないかなと思うくらい、覚悟してのぞみましたから。何度も言いますが、人数増やして、売上は横ばい、利益は下がる、なんて自然じゃありません。
 売上が横ばいだから業務量はそう増えていないはずなのに全員が以前と同じように残業しているなんてやっぱりおかしい。これは変えなくてはいけない、と思って当然です。
 ただ体制を変えるときに、結局ぜんぶ自分が悪いんだ、と思えるようになったことも大きいです。単に利益が下がってスタッフのせいにするのは簡単ですが、それでは解決にはなりません。スタッフができるように育てるのも自分の責任だと思いました。そうした熱意をもって、「オレを信じてとにかくやってくれ」と伝え、願うばかりでした。

 すごい覚悟ですね。それでどのように改革を進めていったのですか?

青松 「まず定時の18時に帰ろう!」と決めました。(床:社内では6ピタ<ロクピタ>と呼ばれているそうです)

 ただし、いきなり夜遅くまで働いているスタッフさんを18時に帰すのは至難の業ではありませんか?

青松 そうです。だから朝1時間と夕方2時間のミーティング時間をまずとって業務の進捗を管理をするところからはじめました。朝の1時間で、分単位で16時までの業務内容を各人に報告してもらって16時になったら業務を終えるんです。そして16時になってできているかどうかをチェックします。

 18時で帰るだけでなく、さらに3時間はミーティングに使うということは最初からハードルが高いですね…。皆さん、できていましたか?

青松 できません(笑)。ですから、16時から2時間かけてなぜできなかったか。どうしたら明日は16時でできるのかを確認しました。

 16時で終わらない理由で多いのは何だったのですか?

青松 「いろいろとありまして…」なんです。確かに『いろいろな』飛び込み業務もあるでしょうけど、そのいろいろをさらに具体的に聞き出してみると…
 圧倒的に多かったのは
(1)ミスをして、それを回復する業務。
(2)スタッフ間の連絡が悪くて不要な業務が重複している。

 という、本来やらなくていい業務だったのです。12時間のうち、約半分の6時間をこうしたムダな業務に費やしていたことがわかりました。

 半分もですか…?

青松 半分も、です。だから利益が横ばいで、人員が倍必要だったんです。

 ムダを減らすことって非常に大事ですが、それこそミスを減らすことや情報共有の仕方を変えるなど抜本的な改革が必要そうで、時間がかかりそうですね。毎日3時間かけたミーティングは一体どれくらい続けたのですか?

青松 結局、3カ月間かかりました。でもこうしたことをやってきたおかげで、実際に利益や売上を伸ばしても今のメンバーで充分対応できるようになったんです。しかもロクピタで帰ることができるようになりました。

>>後編へ続く

著者プロフィール

名前 とこ みゆき happy[アットマーク]supotant.com
※著者に直接問い合わせをする際は、お名前、会社名、サイトURLなどを明記してください。
会社 サポタント株式会社
サイト http://www.supotant.com/

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