東京ビッグサイトで5月15日まで開催された第11回データストレージエキスポ。ここでは、会場において目にとまったソリューションをいくつか紹介していこう。
データの保護と管理は永遠のテーマ
増え続けるデータをどうやって保存していくのかは、ITを活用していく上での永遠の課題といえる。増えれば増えるほど、消失や漏えいへのダメージは大きくなり、管理も面倒になっていく。個々の技術トレンドは変われども、増え続けるデータの管理をいかに効率化し、自動化するかというのが、データストレージEXPOの一貫したテーマであることは間違いない。多くのベンダーがデータの保存やバックアップ、遠隔地との連携のためのソリューションを紹介していた。
テープドライブを内蔵したディスクアレイ装置
日立製作所は「Hitachi Tape Modular Storage 1000」を展示していた。いわゆるディスクアレイ装置だが、最大の特徴はテープドライブを搭載していること。
HDDに蓄積したデータを、同一筐体内でテープメディアにレプリケーションできる。またレプリケーションを筐体内のコントローラを使って行なうため、OSに依存せず、テープへのバックアップが可能となっている。
重複除外によってバックアップデータを削減
丸紅情報システムズは、データドメインのソリューションによるバックアップの効率化を紹介していた。
データドメインは、データの重複除外(デデュープ)によって10~30倍の比率でバックアップデータの容量を削減してバックアップを行なう。これによりストレージコストを削減できるほか、ディザスタリカバリ環境の構築におけるネットワーク負荷も下げられるという。
今あるストレージ容量を効率的に使うという意味では、こうした重複除外の隆盛は、コスト削減時代ならではトレンドといえる。
スケールアウトが容易な
Isilon IQクラスタストレージ
アイシロン・システムズの「Isilon IQクラスタストレージ」は、同社独自の分散ファイルシステムである「OneFS」を搭載することで拡張を容易にした製品だ。
一般的なストレージは、外部からのリクエストを処理するサーバ(NASヘッドなど)と、HDDを束ねるコントローラ、そしてRAIDで構成されたドライブという構成になっている。Isilon IQクラスタストレージは、OneFSにより1つの筐体でこれらすべてを実現しているのが特徴。これにより管理負荷を大幅に削減しているほか、ディスク容量が足りなくなったときでも、筐体を追加するだけで対応できる拡張性の高さを誇る。
導入企業としては、SNSとして膨大なユーザー数を誇るMySpace.comや写真共有サービスであるKodak EasyShare Gallery、膨大な音楽をインターネット上で提供しているソニー・ミュージックネットワークのSony Music Online Japanなどが紹介されていた。こうしたWebサービスにおいては、初期の段階で必要なストレージ容量を見積もることが難しい。そのため、後々容量を拡大しやすいIsilon IQクラスタストレージの利便性が受け入れられているとのことだ。
1ペタバイトを実現できる「デジタル倉庫」
ニューテックで人目を引いていたのは、容量1PBの「デジタル倉庫1ペタバイト」。企業内に分散しているストレージの統合や、映像やCADデータなどの保存などの用途が想定されている。
また同社はSSD対応にも力を入れている。現在、アクセス速度や耐衝撃性からコンシューマ市場で話題となっているSSDだが、エンタープライズ業界においても注目度は高いという。たとえば放送用の非圧縮のHD動画をやり取りするような用途では、高速なSSDのアドバンテージは大きいという。
今回のデータストレージエキスポを見ていて感じたのは、バックアップや拡張時における作業負荷の削減、さらにはディザスタリカバリを意識したレプリケーションといった部分に注目が集まっているということ。特に現在はIT統制の観点から適切なデータ保護が強く求められるようになっており、ストレージ製品の重要性は今後も増していくだろう。