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【T指令のパーツで遊ぼう!! No.4】“Core Duo”の真の性能に迫る! (後編)

2006年05月05日 13時04分更新

文● T指令

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目指せ! 定格電圧での3GHz動作! 

 いよいよ「Celeron M 430」(1.73GHz)のオーバークロック検証の開幕だ。手始めに、純正クーラーでの限界にチャレンジしていこう。「i975Xa-YDG」のCPUソケット付近にあるオーバークロック用のジャンパピンは変更せずに、BIOSでFSBを165MHzに設定。これで165MHz×13倍=2145MHzと、いきなり動作クロックが400MHzアップとなった。3GHzの報告あるんだから大丈夫でしょう、と結構楽観視している。案の定、すんなりとOSが起動した。負荷テストとして“Superπ”の104万桁演算を実行したところ、35秒で完走した。すでに、前編で使用した「Core Duo T2300」より速い結果を出している。続けて“3D Mark 06”を実行したが、こちらもすんなり完走した。残念だが、CPU温度は「i975Xa-YDG」に温度を調べるソフトが付属していないので確認できなかったが、CPUクーラーに触っても温い程度だった。

2.14GHz時のベンチ結果
2.14GHzにオーバークロックした時のベンチ結果。“Superπ”の104万桁演算は「Core Duo T2300」より2秒も速い

 ここまで動くなら、一気にクロックを上げてしまおうと決断。「i975Xa-YDG」のCPUソケット付近にあるオーバークロック用の2つのジャンパピン、“J4”と“J5”を外してFSBを200MHzに設定だ。これで、FSB200MHz×13倍=2600MHz動作となるはずだ。さっそく、電源スイッチをポチッとな。「エヴァン○○○○じゃなくて“i975Xa-YDG”起動!」と楽しくて楽しくて思わず暴走モードに突入している私。なんて言っている間にOSがすんなり起動完了してしまった。“CPU-Z”を立ち上げて動作クロックを確認したところ、間違いなく2600MHzで起動している!! ところが、電圧の設定を変更していないのにかかわらず、約1.4Vに上がっていた。BIOSの電圧設定が“AUTO”だったため、FSBを200MHzに設定したことで自動的に電圧が上がったようだ。問題なく動作するか各種ベンチを実行して負荷をかけてみよう。まずは、“Superπ”の104万桁だが問題なく完走。念のため、数回実行したが27秒で完走した。続けて419万桁、1677万桁と実行するも問題なし。次に“3D Mark 06”を実行するが、こちらも問題なく完走した。スコアは、“1344”とデュアルコアの「Core Duo T2300」(1.66GHz)の“1356”にあとわずかで並ぶ結果となった。

2.6GHz時の“CPU-Z”
動作クロックを2.6GHzにオーバークロックした時の“CPU-Z”の画面。メモリークロックは333MHz、メモリタイミングはCL5-5-5。これで何の問題もなく動作している

 まだまだ余裕がありそうなので、FSBを220MHzに設定してPCを起動した。OSは問題なく起動したが、“Superπ”の演算中に“NOT EXACT IN ROUND”というエラーが発生した。どうやら電圧設定が“AUTO”だと、FSB220MHz×13倍=2860MHzは厳しいようだ。試しにFSBを1MHzずつ下げながらチェックしたが、各種ベンチ完走限界は、FSB215MHz×13倍=2797MHzとなった。このクロックでもすでに定格クロックの1.73GHzプラス1GHzとなるので、かなり耐性は高いといえる。ベンチ結果は、“Superπ”104万桁が26秒、“3D Mark 06”のスコアが“1353”、“3D Mark 05”は“3018”となった。

Socket 478用CPUクーラーを取り付けだ

 BIOSの“AUTO”設定で2797MHzまで動作した「Celeron M 430」くん。今度はコア電圧を上げてさらなる高見を目指そう。コア電圧を上げると発熱が増えるので、ここでCPUクーラーは、Thermalright製の「XP-90C」へ交換だ。ただし、モバイル用CPUにはデスクトップ用CPUに付いている銀色のヒートスプレッダが無い状態で販売されている。このままでは、Socket 478用のCPUクーラーを取り付けてもヒートスプレッダの厚さ分、高さが足りなくなりCPUクーラーとCPUコアが密着しなくなる。そこで、親和産業のPentium M用コア高調節銅板「SS-PENM-RAB」をCPUとクーラーの間に挟んで高さを合わせることにした。さらに、今回はパソコンショップ アークにて取り扱いの「Intel Coreシリーズ用コア欠け防止銅板」も使用した。「これでコア欠けの危険が少なくなるのだ」とご満悦。両製品をCPUに取り付けてからCPUクーラー「XP-90C」を取り付けだ。

「Intel Coreシリーズ用コア欠け防止銅板」 「SS-PENM-RAB」
アークで販売している「Intel Coreシリーズ用コア欠け防止銅板」(630円)。CPU表面と中央に実装されるコア部分との高低差をなくすというものだ親和産業製のPentium M用コア高調節銅板「SS-PENM-RAB」をCPUに取り付けたところ。これでSocket 478用CPUクーラーが使用可能となる

コア電圧を上げて3GHzを目指す

 CPUクーラーの取り付けも完了したので、BIOSからコア電圧を1.45Vに設定し、電圧設定が“AUTO”時に各種ベンチが完走しなかったFSBを220MHz(動作クロック2860MHz)に設定して再起動だ。むろん、OSは問題なく起動した。肝心のベンチは、“Superπ”104万桁が25秒で完走。続けて419万桁、1677万桁も完走した!! “3D Mark 06”も実行したが、こちらも問題なく完走だ。続けてFSBを5MHzずつアップさせて行なったが、FSB225MHz(2925MHz)、FSB230MHz(2990MHz)とも、すんなりOSが起動し、各種ベンチが完走した!!
 「久しぶりに当たりロットをゲットかも!!」と大はしゃぎ。ここまで来たらあとは、一気に3GHzオーバーのFSB235MHz×13倍=3055MHzに挑戦だ。しかし、設定変更後OSは起動したが、“Superπ”を実行するとすぐにエラーが出てしまった。やむを得ずPCを再起動したが、今度はBIOSが起動しない!  一度、電源を落とすことでBIOSが起動したが、原因はちょっと謎だ。取りあえず、コア電圧を1.5Vに変更して、動作クロック3055MHzに再度挑戦だ、とPCを再起動するも、またもやBIOSの起動に失敗した。CPUの耐性限界というよりもマザーボードの挙動が怪しいような気がする……。めげずにもう一度再起動させると、今度は問題なくOSが起動した。よし、今のうちに“Superπ”104万桁を実行だ。結果は23秒で完走。続けて419万桁を実行したがエラーが発生。CPUの限界かと思いつつ、確認のため“CPU-Z”で動作クロック関連の項目を見ると、メモリクロックが392MHz(CL5-5-5)となっていた。今まで、問題なく動作していたので設定変更するのを忘れていたのだが、今回使用したG.Skill製DDR2-667(PC2-5400)メモリは、定格動作クロックが333MHz(CL4-4-4)となるので、メモリもオーバークロックされていたのだ。

メモリクロックに注目
メモリクロックを“CPU-Z”で確認すると392MHzとなっていた。今回検証に使用したメモリの定格動作クロックは333MHzのため、メモリがオーバークロックされていたのだ。どうりでPCが安定しないわけだ

 というわけで、BIOSでメモリクロックを533MHz(CL4-4-4)に変更して再々挑戦だ。まず、OSの起動後に“CPU-Z”でメモリクロックを確認すると313MHz(4:3)となっていた。今度こそは、と思いつつ“Superπ”104万桁を実行する。だが、2回は完走したが3回目でOSが再起動……。あまりのショックに、やる気が砕け散る。やはり3回以上完走しないとオーバークロック成功とは認めたくない。この不安定な症状は、CPUの限界なのか、マザーボードのFSB限界なのか不明だが、どちらにせよFSB231MHz×13倍=3005MHzにやや設定を落として再起動だ。祈りながら“Superπ”104万桁を実行した。今度は104万桁を3回実行しても問題なし。「よし このまま行け~」と願いが通じて419万桁、1677万桁ともに完走した。続けて、“3D Mark 05”を実行したが、こちらも問題なく完走した。まだCPU限界とは言えないが、どうにか目標の「Celeron M 430」で3GHz動作まで達成できた。ひとまず「ミッション完遂!!」と大喜びだ。

リモコンで更なる限界を追求

 ベンチ実行中に手が空いたので、検証に使用した製品の撮影を行なっていたのだが、リモコンの撮影中に“FSB”と書かれたボタンがあることを発見した。今まで全然気がつかなかったよ。これは試さねばなるまい! はやる気持ちを抑えつつ、リモコン受光部を大急ぎでマザーボードに接続した。ドキドキしながらFSBボタンを押すと、FSBがちゃんと変化した。なんと、今までBIOSで設定して、わざわざ再起動していたのは、ひょっとして骨折り損? ちょっと落ち込んだが、便利なのでリモコンを使用して1MHzずつFSBを上げながらCPUの限界を追求していくとしよう。すると、なぜかBIOSで設定した時はベンチが完走しなかったFSB235MHz×13倍=3055MHzで、各種ベンチが完走してくれた。さすがにこれ以上のクロックはCPUの限界を超えるようだが、1万8000円程度のCPUで3GHz超えをしたので、コストパフォーマンスは抜群といえるだろう。また、今回CPU温度は計測していないが、オーバークロック中のCPU温度はかなり低く、「XP90-C」を使用した環境の場合、3GHz動作時のベンチ実行中にヒートシンクに触れても、ほとんど温かくなっていなかった。うまくいけばオーバークロック状態でもファンレス化が可能かもしれない。

マザに付属のリモコン 「XP-90C」
マザーボードに付属するリモコンの右上に“FSB”と書かれたボタンがある。どうせリモコンなんて音量調節くらいにしか使わないだろうと見事に見逃していた。FSBをリモコンで変えられるのはすごく便利だ!Thermalright製のCPUクーラー「XP-90C」。オーバークロック検証中に触れてもほとんど熱を感じなかった。もしかしてファンレス化も可能?

●中間報告:「Celeron M 430」は、低価格/低消費電力/低発熱でオーバークロックも可能と、コストパフォーマンスは抜群だ!!

次ページから、いよいよ「Core Duo T2300」のオーバークロックに挑戦だ!

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