ソニー(株)は27日、東京・大手町の大手町サンケイプラザにプレス関係者を集め、2005年度の連結業績を発表した。会場には執行役EVP(上級副社長)兼CFO(最高財務責任者)の大根田伸行(おおねたのぶゆき)氏、コーポレートエグゼクティブSVP(上席副社長)の湯原隆男氏が出席し、財務内容の詳細や業績に関わるハイライト、および2006年度の見通しを示した。
執行役EVP兼CFOの大根田伸行氏 |
今回発表された連結業績は以下の通り。
FY05(2005年度)連結業績
- 売上高および営業収入
- 7兆4754億円(前年度比104.4%)
- 営業利益
- 1913億円(同167.9%)
- 税引前利益
- 2863億円(同182.1%)
- 持分法による投資利益(純額)
- 132億円(同45.4%)
- 当期純利益
- 1236億円(同75.5%)
- 1株当たり当期純利益(希薄化後)
- 116.88円(73.9%)
- 構造改革費用
- 1387億円(+487億円)
- 代行返上益(※1)
- 735億円(――)
セグメント別の業績説明。エレクトロニクスは液晶TVやリアプロジェクションTVが好調で、売上高は1.7%増加したという | エレクトロニクスのカテゴリー別の状況 |
セグメント別、および関連会社の業績をまとめたものは以下の通り。
エレクトロニクス
- 売上高
- 5兆1505億円(前年度比101.7%)
- 営業損益
- △309億円(代行返上益645億円を含む)(前年度比較対象なし)
ゲーム
- 売上高
- 9586億円(同131.4%)
- 営業利益
- 87億円(同20.3%)
映画
- 売上高
- 7459億円(同101.7%)
- 営業利益
- 274億円(同42.9%)
金融
- 金融ビジネス収入
- 7432億円(同132.6%)
- 営業利益
- 1883億円(同339.4%)
その他
- 売上高
- 4089億円(同88.9%)
- 営業利益
- 162億円(同386.4%)
ソニーエリクソンの業績説明。個別の端末では、200万画素デジタルカメラ内蔵の『K750』、ウォークマン携帯こと『W800』、3G対応端末の『K600』などが牽引役となって業績を伸ばしたという |
主要持分法適用会社
英ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ(Sony Ericsson Mobile Communications)社
- 売上高(2005年4月~2006年3月期)
- 79億7200万ユーロ(約1兆1400億円)(前年度比123%)
- 税引前利益
- 5億9500万ユーロ(約850億8500万円)(同129%)
米ソニーBMG(Sony BMG)社
- 売上高(同期)
- 42億8300万ドル(約4925億円)(前年度比較対象なし)
- 税引前利益
- 1億5000万ドル(約172億5000万円)(同上)
また、2006年度の連結業績見通しも合わせて発表された。
- 売上高および営業収入
- 8兆2000億円(前年度比110%)
- 営業利益
- 1000億円(同52%)
- うち構造改革費用
- 500億円(同36%)
- 税引前利益
- 1500億円(同52%)
- 持分法による投資利益(純額)
- 400億円(同304%)
- 当期純利益
- 1300億円(同105%)
- 設備投資額
- 4600億円(同120%)
- うち半導体投資額
- 1700億円(同121%)
- 減価償却費
- 4100億円(107%)
- 研究開発費
- 5500億円(103%)
大根田氏の発言によると、業績に大きく貢献したのは“ゲーム”および“金融”分野で、これにより前年度比4%の増収になった。また、大画面薄型TV“BRAVIA(ブラビア)”、パソコン“VAIO(バイオ)”など、好調なブランドを挙げながらエレクトロニクス事業にも回復の兆しが見えていると述べた。実際、1月に行なった年度見通しの上方修正を上回る業績を上げているが、「本格的な業績回復にはまだ道半ばを認識しており、エレクトロニクス分野で4%、全体で5%の営業利益率達成のために、今後も改革に取り組んでいく」とソニーの完全復活に向けた強い決意を示した。
コーポレートエグゼクティブSVPの湯原隆男氏 |
湯原氏がさらにセグメント別に解説し、エレクトロニクス分野のうち“オーディオ”“ビデオ”“TV”“情報・通信(パソコンを含む)”の4つを合わせた“AV&IT”においては、ビデオカメラ、パソコン、ホームオーディオ、およびHDカムコーダーなどの業務用放送機器などが好調だった反面、ブラウン管TVの需要が縮小し(それでも中南米を中心に引き続きニーズはあるという)、液晶TVの価格下落も営業損益に影響を与えた、と原因を説明した。
エレクトロニクス分野の外部顧客向け売り上げのトレンドを示した図 |
“半導体”“コンポーネント”の部門は売上高が9%増と堅調だが、ソニー・コンピュータエンタテインメント(株)の次世代ゲーム機『プレイステーション3』(今年11月上旬に世界一斉発売予定)向けプロセッサー“CELL”の社内向け販売が含まれるため、外部顧客向けの売り上げの減少(447億円減)などが響いて、営業損益は309億円の赤字になった。ただし、これも四半期ごとに見ると第2四半期(前年同期比-10%)を底に回復傾向にあるとして、第4四半期の前年同期比+1%に期待感を示した。
ゲーム部門の説明。PS3の離陸に向けて、かなりの投資や研究開発(製造面でのコスト削減)を進めていることが見て取れる |
ゲームではPSPプラットフォームが順調に拡大したことが好調の要因という。売り上げは31%の増加で、そのうちハードウェア(本体)とアクセサリー(周辺機器)が2/3、残り1/3がソフトウェアとなる。PS2も欧米を中心に堅調な伸びを見せ、利益は600億円以上出ているが、PS3の開発/研究/ソフトウェア開発環境のアップデートなどの投資(期末処理)で500億円以上を計上したため、結果として営業利益は前年度より79.7%の減少となった。
ゲーム機本体(プレイステーションシリーズ)の出荷台数と2006年度の見通し | 同じくソフトウェアの出荷本数と2006年度の見通し |
なお、同時に各ハードウェア/ソフトウェアの年間出荷台数も公表されている。本体ではPS2が1622万台で前年(1617万台)とほぼ同等、PSPは1406万台で前年(297万台)の3.7倍以上と大きく躍進を遂げた。さらに来年度(2006年度)はPS3が全世界600万台出荷されると、引き続き強気の見通しを示した。ソフトはプレイステーションが200万本、PS2が2億2300万本(前年は2億5200万本)、PSPが4160万本(同570万本)で、こちらもPSPが前年から7倍以上の大幅な伸びを見せた。