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マイクロソフトの新プラットフォーム“Ultra-Mobile PC”について語る

マイクロソフトの新プラットフォーム“Ultra-Mobile PC”について語る

2006年04月24日 00時00分更新

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お座敷パソコンの提案

[小林] 10万円以下というUMPCの価格はどうですかね。
スマートディスプレー
富士通が開発したスマートディスプレー。Windows CEを搭載しており、リモートデスクトップでパソコンを操作する。NECも製品化した
[遠藤] 安くはないな。そういう意味では、数年前に発表された“スマートディスプレー”のほうが正しかったと思うよ。Windows Mobileにすれば安くできる可能性がある。何と言うか“お座敷パソコン”みたいな需要って必ずあると思うんですよ。
[小林] 何ですか、お座敷パソコンって?
[遠藤] テレビ見ながら使うパソコン。テレビがつまんないときにメールを読んだりとか、ドラマに出てる女優の過去を探ったりとか。そういう使い方をするわけ。自宅では「LaVie J」を使ってるけど、キーボードのないタブレットのほうが向いてるかもしれない。

昔、月刊アスキーで韓国の“サイバーアパート”を記事にしたけど、韓国の高級アパートはみんなネットワーク回線が引いてあるわけ。しかも日本のインターネットマンションみたいなものとは全然違っていて、イントラネットになってる。取材したのは2000年ぐらいだったけど、各家庭にはWindows CE 3.0を使った、サムスン製の端末が置いてあって、洗濯物を取りに来てほしいときにボタンで呼び出したり、地域の天気を表示する機能なんかも用意されていた。買い物もそれでやるし、そのマンションの掲示板もある。裏の駐車場は親戚が使えるかとか、いらない乳母車をどうしたらいいかとか、奥さんもおばあさんも、ものすごいアクティブに使ってるんですよ。
[小林] スマートディスプレーは流行にはならなかったけど、コンセプトは面白かったと思います。デバイス自体の機能は最小限に抑えて、必要なことはリモートデスクトップや、ネットワーク上のサーバーでやればいいわけです。通信のコネクティビティーは上がっているし、企業ネットワークでは、仮想化とかウェブベースの情報共有が進んでるから、その流れにも調和している。韓国のも発想は近いですけど。
[遠藤] 僕はお座敷パソコンは必要なジャンルだと思ってるし。スマートディスプレーでも大きな不満は感じなかったですよ。原稿は書けないけど、検索するぐらいならソフトキーボードで十分でしょ。ライフスタイルさえ身につけば、そんなに悪い端末じゃないですよ。
[小林] Origamiの特徴のひとつが、Windows XPの機能をフルに利用できることですけど、個人的には、それより先に、マイクロソフトはまともに使える組み込みブラウザーを作るべき何じゃないかと思う。モバイル版のInternet Explorerは何年も開発がとまってるんじゃないかと感じる。企業システムはウェブベースが中心になってるわけで、アプリケーションをインストールしなくても、多くのことはASPで提供できるはずです。AjaxとかFlashを使えばリッチなインターフェースも提供できるし、既存システムとの共存も容易になるはずだし。
[遠藤] “NC”(ネットワークコンピューター)の世界だな。
[広田] そのほうが端末のコストを安くできそうですしね。というか、10万円の端末にしてはあまりに普通すぎる印象がある。これなら20万円出しても富士通のLOOX Pや、VAIO Uを買うでしょう。


PCEPHONE PCEPHONE
2001年に国内で発売されたPC EPhone。VGA液晶ディスプレーを搭載し、リモートデスクトップも利用できた
[小林] 価格次第で、盛り上がり方も違ってくるかなぁ。
[矢崎] それはあると思いますよ。例えば、SmartCaddieの機能が3万9800円とか4万9800円だったら、少なくとも「アスキーでムック作るか!」ぐらい盛り上がったでしょう(笑)。
[本多] W-ZERO3がヒットした背景には価格設定も大きかったと思うんですよね。5万円だったら買わない(買えない)ってひとも多かったと思いますよ。単なる金額の問題じゃなくて「10万円出したぶんだけ幸せになれるかどうか?」が重要だと思いますよ。
[矢崎] 仮に3万9800円だったら、多少機能が削られていても構わなかったかもね。要はバランスの問題ですよ。W-ZERO3だって、みんながみんな満足しているわけじゃない。だけど、選択肢がほかにないとか、値段も手頃っていう部分が大きかったと思う。
WーZERO3WーZERO3。最近のモバイルマシンでは最も話題を集めた製品といえる
[本多] 台湾や韓国で売られているスマートフォンを個人輸入しているマニアもいますけど、あれって10万円近い値段のものも少なくないんですよ。でも、コレクション目的だったり、たまに旅行行くときのために買っちゃう人がいる。その意味で、マニア心をくすぐるものが足りない気がするんですよね。「10万円出してでもこれを手に入れたいんだ!」という。
[遠藤] そこまでのマニアは少ないと思うけど、スマートフォンには、ある種の気持ちよさというか、CPUがあるものに自分の声を通している快感がある。脳みそを洗われているような快感があるわけですよ。「インテルのCPUに俺のダミ声を通してるぞみたいな(笑)」。僕は少なくともそう。少なくとも仕事は引き締まると思うよね。「そこらのチャラチャラした携帯で話してんのとはちょっと違うんだよ!」というか。

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