PBJ(株)は4日、マイクロソフト(株)が同日発表した“Ultra-Mobile PC”(UMPC)プラットフォーム採用の新製品『SmartCaddie』を発表した。初年度10万台の出荷を目指す。
SmartCaddie |
UMPCに関しては、関連記事で紹介しているが、“Origami”のコードネームの名前で知られる、小型Tablet PCである。
PBJは2002年6月に設立された新進メーカーで、キーボードを持たない“ピュアタブレット”型のTablet PCの開発を行なっているファブレス企業である。コンシューマー市場ではなじみが薄いが、企業向け製品の開発では一定の成果を挙げているという。
右側面 | 左側面 | 背面 | 画面右上のスティック型ポインティングデバイス |
マウス操作は左の十字キーでも行なえる。画面に表示されているのがダイヤルキーボード | 不透明度を変更したり、白地、黒地の変更もできる | カスタマイズ可能なランチャー | スタイラスは本体下部に収納できる |
今回発表された新製品のスペックは下記の通り。当面は提携パートナーによるウェブ直販のみだが、5月ごろをめどに量販店販売も行なう予定。製品は、エキサイト(株)、ソースネクスト(株)、(株)ノジマ、(株)イーネット・ジャパンなどが行なう。詳細はSmartCaddieの製品紹介サイトを参照のこと。
- SmartCaddie
- VIA C7M ULV-1GHz、512MBメモリー、40GB HDD
- VIA VN800、チップセット内蔵S3 Graphics UniChrome Pro IGP
- 7インチワイドTFT液晶ディスプレー(解像度800×680ドット、タッチパネル付き)
- エミュレーション機能で、800×600ドットと1024×600ドット表示にも対応
- IEEE 802.11g/b、Bluetooth対応
- 本体サイズ:幅228×奥行き146×高さ25.1mm、重量:約860g
- バッテリー駆動時間:約2.5時間
- Windows XP Tablet PC Edition 2005
- 価格:9万9800円、4月14日出荷開始
米マイクロソフト社のWindows Mobile Platforms Division担当コーポレートバイスプレジデント、ビル・ミッチェル(Bill Mitchell)氏が「リファレンスモデルの仕様を忠実に再現してくれた」と語るように、SmartCaddieはマイクロソフトのOrigamiプロジェクトを体現した製品と言える。独自性に関してはやや乏しい面もあるが、PBJ代表取締役社長の高橋正敏(たかはしまさとし)氏によると、ピュアタブレットとして使いやすいデザインなど、Tablet PC開発に関するこれまでの経験を反映した商品コンセプトになっているという。PBJはOrigamiプロジェクトの発足とほぼときを同じくした1年半ほど前から製品の開発を開始したという。
マイクロソフトのミッチェル氏(左)とPBJの高橋社長(右)。高橋氏いわく「ミッチェル氏の男気に感銘を受けた」という |
UMPCを開発するハードメーカーに対して、マイクロソフトはリファレンス仕様を提示しているが、これはハードウェアメーカーに対して拘束力はなく、製品計画上、必要と思えるものを選択すればよいということがミッチェル氏の口から明らかになった。マイクロソフトが本日発表した報道資料では、基本仕様として7インチディスプレーの採用などが謳われているが、ビル氏は「7インチ以下のディスプレーを搭載した製品を開発することも可能」と明言した。
マイクロソフトはPocket PCやTablet PCなどでもリファレンスデザインを設けてきたが、例えば感圧式のタッチパッドを採用したTablet PCを開発できないなど、メーカーの差別化の阻害要因になっているのではないかと感じさせる面があった(現在では富士通の『LOOX P』などタッチパッド搭載のTablet PCも存在する)。より小型なUMPCの開発なども期待したいところだ。
発表会場に展示されていたSmartCaddieは思いのほかレスポンスが速く、写真で見るよりコンパクトである。両手で持った際の重量もそれほど感じず、動画再生もスムーズで問題を感じなかった。この点は好感触である。ただし、気になった部分として、本体の熱を若干感じること(長時間持つと手が汗ばむ程度)、ダイヤルキーボードをハードウェアキーで呼び出せずタスクトレイのアイコンをダブルクリックする必要があること(本体にはキーボードボタンがあるが、ここを押すとTablet PCのソフトウェアキーボードが立ち上がる)などがあった。また、ダイヤルキーボードの発想はおもしろいが、手探りでキーの位置を把握できないため、かなり慣れが必要な印象だった。
説明員の話では、ユーティリティーの搭載によって、ハードウェアボタンのカスタマイズが可能になるため、ユーザーのニーズを見ながら今後の課題としていきたいとした。なお、薄型の本体だがファンレスではなく小型のファンが搭載されているとのこと。
山田優さんに限定仕様の製品を手渡す高橋社長(編注:写真のフレームの外には製品を受け取る山田優さんがいます) |
VIA Technologies社のEPAN WU氏。金城武のファンだという |
本日都内のホテルで開催された製品発表会には、多くのゲストが招かれた。PBJでは“ライフスタイルPC”(SmartCaddieのコンセプト)を、スマートに使いこなす「本当にかっこいい人たち」(高橋氏)を“SmartPeople”(すまーとぴーぷる)と呼んでおり、発表会の冒頭にはこのSmartPeopleによるビデオメッセージが寄せられた。また、モデルでタレントの山田優さんや若干27歳で台湾VIA Technologies社の“C7”開発責任者に上り詰めたという才媛イーパン・ウー(EPAN WU)氏なども壇上に上がり、発表会に華を添えた。なお、主催者側の都合で山田優さんの写真は掲載できないが、会場では表面に独自の加工が施された限定仕様の製品がプレゼントされている。
しかし、圧巻はSmart Peopleの一人としてビデオレターにも登場した(株)キョウデン代表取締役会長の橋本浩(はしもと ひろし)氏が、ヴォーカルグループ“冒険団”とともにステージに立ったときだろう。ネット配信が予定されているプロモーションドラマのテーマソング『今、僕は六本木の交差点に立つ』を熱唱する橋本氏の姿に、驚きのあまり絶句してしまった報道陣も少なくないだろう。
なぜか最も目立っていたキョウデンの橋本会長 |
歌う実業家、橋本ひろし氏(写真左)、冒険団は男性3人、女性4人のユニット(写真中央、写真右) |
歌い終わりひざまずく女性たち |