日本ビクター(株)の『XA-HD500』は、同社の携帯音楽プレーヤー“alneo”(アルネオ)シリーズとしては初めてのHDD搭載型モデルである。
前面と背面。縦横のサイズはiPod miniとほぼ同じ。前面にはヘアライン処理、背面には鏡面処理が施されている。 |
本体には1インチのHDDを内蔵しており、容量は6GB。縦横のサイズはアップルコンピュータ(株)の『iPod mini』(生産完了)とほぼ同等で、4mm程度厚くなるかわりに、本体重量は10%ほど軽い約90gになっている。
本体は完全な直線ではなく、側面から見ると中央がやや厚くなるなど独特の曲線で構成されているが、思いのほか手になじむ。30時間の連続再生時間も1インチHDD搭載機としてはおそらく最長だろう。測定条件はメーカーによって異なるが、1インチHDDを搭載する機種ではソニーの『NW-A1000』(ウォークマンA)が約20時間、クリエイティブメディアの『ZEN NEEON』の約16時間。フラッシュメモリー採用の『iPod nano』が約14時間となっており、1.5~2倍程度の長時間駆動が期待できる。
トップメニューには8つのアイコンを用意。十字キーで選択して使用するもので、直感的に使える |
液晶画面にはアナログとデジタルの2種類の方法で時刻を表示することも可能。 |
本体のメニュー構成も奇をてらったことのないごくシンプルなもので違和感なく利用することが可能だ。パソコンから音楽ファイルを転送する際には『Windows Media Player 10』(以下WMP10)を使用。対応OSはWindows XPのみだが、WMP10さえインストールしてあれば、ドライバーなどの追加なくすぐに利用できる。
Windows Media Player 10 |
XA-HD500のセールスポイントのひとつが音質だ。“音作り”にはビクタースタジオのレコーディングエンジニアが参加し、プロの耳による独自のチューニングが施されたという。最大の特徴は“CCコンバーター”の搭載だ。CCは“Compression Compensative”の略で、デジタルデータから本来のアナログ信号の波形を類推し、それをリアルタイムに復元しながら再生する、ビクター独自開発の高音質化技術である。MP3やWMAといった不可逆の圧縮音源で特に効果があり、原音に近いより自然な音色で音楽を楽しめるというのがふれこみだ。同社製AVアンプやミニノートパソコンの“InterLink”シリーズにも採用例がある。
また、CCコンバーター以外にも、より豊かな低音が楽しめる“デジタルAHB”(Active Hyper Bus)や5種類の音場効果が選択できる“E.サラウンド”、ユーザーが自由にカスタマイズできる5バンドのイコライジング機能などが用意されている。全体に音質のカスタマイズに関してはかなりこだわった機能が用意されている印象だ。
新たに用意されたカナル型ヘッドホン。 |
付属ヘッドホンも耳栓のような形状で密閉感の高い“カナル型”となり、直径8.5mmと小型ながら、ネオジウムマグネットの採用などによりパワフルな低音と繊細な中高域の再生が可能だという。