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【特別企画】マイクロソフト、Linuxをターゲットとしたキャンペーンを展開中

2004年03月07日 15時30分更新

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オープンソースであればシステムを永続的に利用できる

[編集部]

電子政府にオープンソースソフトウェアを採用する動きが話題になっていますが、政府市場に向けてはどのようなマーケティングを展開されているのでしょうか。

[関川氏]

現在、我々のコンサルティング担当が、政府機関にご説明にあがっております。そこでお話ししているのは、仮にすべてをレッドハット製品にしても、どこかに依存している構造は変わりません。ですから、まずはオープンソースについてきちんと理解して頂く活動をしています。たとえばコストにしても、新しいアプリケーションを作る場合の開発コスト、WindowsのCAL(Client Access Licence、サーバへの接続ユーザー数に応じて課金されるライセンス制度)などがあり、単純にOSの導入コストだけを比較してもそれほど意味がありません。

我々がご説明しているのは、オープンソースソフトウェアの場合、提供しているベンダーが仮になくなっても、ソースコードがあるのでほかのベンダーにサポートを依頼できますから、システムを使い続けることができるといったこと。また、透明性、再利用性といった観点から、たとえば地方自治体のシステムなどは、国がパッケージをオープンソースで用意し、地方自治体は共同で利用、メンテナンスすれば、ROIは非常に良くなる可能性があることなどです。それから、みなさんにご理解頂いているのは、オープンソースは“タダ”ではないということです。確かにLinuxはKernel.orgから自由にダウンロードできますが、サポートについてはコストが発生することもご説明しています。

いずれにせよ、現在のところはレッドハットの製品を売り込むのではなく、オープンソースについてご理解頂いて、我々がお手伝いできるところはお手伝いさせて頂くというスタンスです。ここでも特にWindowsを意識したマーケティングはしていないですね。

表1 Red Hat Linux とWindowsのデータセンター向け機能

  Red Hat Enterprise Linux AS Windows Server 2003
データセンターのイメージ 複数OSが混在した環境、ISV/IHVのソリューションで管理 Windowsソフトウェアプラットフォームを中心に管理
管理ツール UNIXで実績のあるISVの管理ツール中心 XMLベースの設計図(System Definition Model)に基づいた管 理
動的なリソース割り当て機能 イージェネラ「BldeFrame」などのハードウェアで実現 Windowsソフトウェアプラットフォームによる実装を開発中

関川氏へのインタビューから、マイクロソフトに対する2つの疑問が浮上してきた。

・マルチプラットフォームで運用され、実績を重視するデータセンター市場への対策はあるのか
・マイクロソフトは競争原理は不要だと考えているのか

に集約されるだろう。

マイクロソフトにこの問いを発したら、どのような回答や反論を寄せるのだろうか。

e-JapanはLinuxを“着る”のか?

そもそも“e-Japan”とは、首相官邸に設置された“高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部”の「e-Japan戦略」がもとになっている。「e-Japan重点計画-2002」では、「情報通信ネットワークの形成」「教育及び学習の振興並びに人材の育成」「電子商取引等の促進」「行政の情報化」「ネットワークの安全性及び信頼性の確保」といった5つの重点政策が挙げられている。

4つ目にあたる「行政の情報化」がいわゆる電子政府を指すもので、行政情報の電子化、ネットワークを利用した情報の活用、“IT”の活用による公共サービスの質的向上といった目標が掲げられている。電子政府が利用するシステムには、人名や住所を網羅する文字を扱えること、セキュリティが高いこと、24時間のオンラインサービスを提供できることなどが必要といえる。特にセキュリティに関しては、ISO/IEC15408(JIS X5070)に基づくセキュリティ評価が必要なことが多いが、「Red Hat Enterprise Linux AS」はこの2月にEAL(評価保証レベル)2を取得しており、政府機関の調達要件を満たせるものとなった。一方のWindowsはすでに、より評価の高いEAL 4を取得しており、Linuxはようやく1歩を踏み出したところだ。

電子政府がLinuxにそでを通すための道筋は、まだ始まったばかりといえよう。

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